現在台湾の事務所と専属契約を個人的に結んでおり、今月はそちらからの依頼で、とある台北市内のマンション計画の協力を依頼された。
台北市内にも多くの日本人とその家族が暮らしており、日本人学校もあるのだが、今回はそういった台北で暮らす日本人家族が住みやすいようなマンションの間取り、平面図を考えてほしいとのこと。
これまで台湾のマンションの間取り図もたくさん見てきたが、日本のマンションとの大きな違いは、まず玄関がないこと。日本のマンションであれば、基本的にはどんな形式のマンションでもまず入口部分に玄関があり靴を脱いで入る。でも台湾では諸外国同様靴を脱ぐ習慣がないので、住戸のドアを開けると、いきなり眼前にリビング、ダイニングスペースが広がるパターンが多い(なので、住戸の外の廊下側に脱いだ靴が置かれているケースがよくある)。
日本のマンションの典型的な間取りのプランは、玄関があり、共有の廊下があり、玄関近くにトイレや浴室などの水回りがあり、廊下の先に寝室やリビング・ダイニングが付設される形式で、できるだけ共有廊下を短くコンパクトにして、空間の有効活用をしようとするもの。台湾だと玄関がないので、共有廊下もなく、リビング、ダイニングルームから各部屋にアクセスする形式が主で、また主寝室には必ずトイレ、浴室があり、リビング、ダイニング側にも別のトイレ、浴室があり、家族や客人が利用する。
ひとまず私の方では一般的な日本のマンションでよく利用される間取りを提案した。玄関部分は作るが段差は設けず、玄関横には大き目のSIC(シューズインクローゼット)を設けた。台湾のマンションのように主寝室に水回りは設計しなかったが、後で、トイレだけ共有部以外にもう1台設置するような要求があった。台湾側からの要請で、朝の出勤前、通学前にトイレが家族内でも混雑する可能性があるため、トイレは少なくとも2か所欲しいとのこと。
結局、共有廊下部分にトイレだけ追加する案と主寝室に該当する部屋にトイレだけ追加する案を考え、一旦台湾側の判断をゆだねることになった。要するに今回提案したのは日本と台湾の間取り図の折衷案的なもので、今後の進捗状況についてはまた進展があれば追記したいと思う。