一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

PKCS#11は、暗号処理を行うデバイスやライブラリを「みんな同じように操作できるようにする」ためのAPI仕様です。
「暗号ハードウェアやソフトウェアを叩くための共通言語」です。


1. 何をするためのものか

  • 暗号鍵の生成・管理
  • データの暗号化/復号化
  • 署名と検証
  • ハッシュ計算
  • 鍵や証明書の格納・読み出し

つまり、暗号処理の基本動作をハードウェア依存せずに行うための標準化されたC言語ベースのAPI仕様です。


2. 対応するデバイス

PKCS#11は特にHSM (Hardware Security Module)スマートカード, TPM などの「秘密鍵を外に出さない」タイプのデバイスと相性が良いです。
これらの機器はセキュリティのため、鍵を外部に持ち出せない設計ですが、PKCS#11経由なら外部アプリから安全に使えます。


3. 仕組みのイメージ

[アプリケーション] 
     ↓ (PKCS#11 API呼び出し)
[PKCS#11ライブラリ(.so/.dll)] 
     ↓ (デバイス固有のやり取り)
[HSM / スマートカード / 暗号モジュール]

アプリはPKCS#11のAPIを叩くだけで、下の機器が何であっても同じコードで動く、というメリットがあります。


4. 主な関数の例

  • C_Initialize / C_Finalize
    初期化・終了処理
  • C_OpenSession / C_CloseSession
    デバイスとのセッション開始・終了
  • C_GenerateKey / C_GenerateKeyPair
    鍵や鍵ペアを作る
  • C_Sign / C_Verify
    署名・検証
  • C_Encrypt / C_Decrypt
    暗号化・復号化

5. 注意点

  • 仕様は標準化されてるけど、実装は各ベンダーが作るので拡張や制限がまちまち
  • セキュリティ上、鍵の生データを外に出せない仕様が多い。
  • スレッドセーフ性やパフォーマンスはライブラリ実装依存。

 

 

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WATANABE REN

千葉県在住のエンジニアです。最近はPythonやってます。

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