8月末にはタイのバンコクに行き、現地で開催されたイベントに展示された車両を日本に送り戻す貯めの作業を行ないました。
タイは基本的に、中古車の輸入が制限されている国で、イベントに展示する車両は、タイで販売するのではなく、あくまでイベント展示のために一時的に日本から輸出するもので、イベント後は再び日本に戻すことが前提となっています。
飛行機で運べば、早く輸送することが可能ですが、コスト的な問題でコンテナでの海上輸送となります。
40フィートのコンテナに2台、1台の場合は20フィートのコンテナを使用。車両を入れたコンテナは、港までトラックで輸送され、港でトラックから下ろし、船に載せて日本へと運びます。
物理的なモノの輸送と並行して、書類を税関に提出するなどの事務手続きも行なわれます。
私が担当するのは、車両をコンテナの中で固定するなどのバニングと呼ばれる作業の立ち会い。貴重な展示車両にキズがつかないよう、かつコンテナがトラックや船での輸送中や、クレーンでの積込み移動の際の衝撃で受けて動かないように、ベルト類を使って固定する作業の確認です。作業そのものは現地スタッフに行なってもらいます。
おおよそ1台あたり2トンもの重量がある物体がコンテナの中で動かないように固定するにはラッシングベルトで強く縛り付ける必要があるのですが、車にキズがつかないように養生をする必要もあります。
また、展示車両の中にはエアーサスペンション等を採用しているものもあり、コンテナの中では車高を上げた状態で縛り付けますが、コンテナは輸送中気温等が大きく変化するため、エア抜け等で車高が下がってしまうこともあるので、車高が下がっても支障がないようにする対処が求められます。
コンテナ内での車両固定方法については、長年の経験で得たノウハウがいくつかあり、現地の作業スタッフに注意点を伝えつつ、場合によっては作業をやり直してもらったりしながら、すべての車両がコンテナに収められてコンテナの扉を閉め、トラックで運び出されるのを見送って終了となります。
今回は、イベント会場がこれまでと違った会場となり、勝手が違ったこともあり、例年よりも時間を要しましたが、午後10時頃に開始し、5台の車両をコンテナに収めて午前3時ごろに作業完了となりました。
数週間後には日本に戻り、通関作業後、ラッシングを解いてコンテナから車両を出し、損傷などがないことを確認してオーナーさんへ返却となります。