一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • Go To トラベルは巨大な観光産業を救えるのか。

7月22日からいよいよGo To トラベルが始まります。コロナ収束後の観光支援策として位置付けられている同政策ですが、迷走に迷走を重ねています。

・高額な委託費を批判され、事業者の公募を一時停止。

・東京都の新型コロナ感染拡大に伴い、東京都を目的とする旅行、東京都内居住者の旅行を急遽Go To トラベル事業の対象から除外。

・東京都がGo To トラベル事業の対象から除外されることに伴うキャンセル料について、当初国は補償しないとしていたが、批判が殺到したためキャンセル料を支払う方針に変更。

 

コロナ対策の補正予算が膨大な金額になっており、感覚が麻痺してしまっていますが、Go To キャンペーンの予算総額は1.7兆円であり、通常時の国家予算の2%程度を使う一大事業であるにもかかわらず、制度設計の不備があまりにも多いように感じます。

 

今回の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、観光業者が受けたダメージは想像以上に大きいものとなっています。例年であればゴールデンウィークで書き入れ時であったはずの5月の観光業取扱額は97.6%減と壊滅的な状況となっています。このままの状況が続けば、国内の観光産業は更なる倒産ラッシュに見舞われることになるのは間違いありません。

 

こうした観光業への支援策として、直接給付を主張する向きもありますが、これは現実的ではありません。観光業は政府が直接支援によって救済できる程、小さい産業ではありません。観光庁が発行している「旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究報告書」によれば、日本人による国内旅行消費額(2017年)は約21.1兆円であり、訪日外国人客による国内観光消費は4.1兆円となっています。さらに産業連関分析を用いた内部観光消費による生産波及効果は55.2兆円にも及び、観光業は非常に巨大な産業であることが分かります。これだけの巨大産業を、政府が直接支援し続ける場合には、膨大な予算が必要となり、現実的ではありません。

 

観光業を救済するためには、やはり新型コロナと共存しつつ、少しずつ観光消費をしていただくしかないのです。そのためには関係者のPCR検査の徹底や検温の徹底、AIやICTを活用した感染拡大防止、近隣地域同士のマイクロツーリズムの推進など、対策を徹底していくしかありません。ただ、こうした動きはまだ局所的なものであり、多くの国民、消費者に対して安心感を与えるには至っていません。

 

間も無く夏休みシーズンが到来し、観光業にとっては書き入れ時です。ここでどこまで収益をあげることができるか、キャッシュを確保できるかが大きな勝負となります。ただ、今回のGo To トラベルについては、二転三転してしまったため、消費者の観光マインドを大きく毀損してしまったのではないかと予想します。あれだけ騒がれると「旅行=悪」というような気分にさえなってしまいます。観光シーズンの夏が終わった時に、観光業が更なる苦境に陥らないことを祈るばかりです。

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東葛 コンサルティング

投資銀行にてM&Aアドバイザリー業務、PE(プライベート・エクイティ)業務に従事していました。 経済、投資等についてのアドバイスを行っています。

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