一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • ハコ型商売(撮影スタジオ)の基本と当スタジオでの応用

撮影スタジオはいわゆる「ハコ型ビジネス」に該当します、ハコ型ビジネスというのは「場所・部屋を一定時間貸して収益をもらう」ビジネスで代表例がホテル・旅館・インターネットカフェです。

ハコ型ビジネスには幾つか利益を最大化するための鉄則があります。単価を上げるよりとにかく稼働率を高める、清掃時間・コストの最小化、独自の付加価値と安全・安心の提供、この辺りは鉄板になります。

それに対して自分のところでは「通し料金に一本化して稼働率の基準を日単位にする(安価な短時間滞在料金をあえて設定しない)」「住民である管理人自らが夜中に屋内を清掃することで清掃の外注を屋外のみに削減する(流石に時折業者の室内清掃も入れますが価格が高いので本当に時折です)」「9時から23時まで滞在可能とすることと内見自由とすることで夜撮影や長時間オフ会を可能とし、全室の電気周りを有名メーカーの現行品で極力揃える(ことで盗撮・盗聴の恐れは無いですよという姿勢をはっきり見せる)」という対応を取っています。

まず短時間料金を設定しない件ですが、これは更衣室内の盗難防止対策も兼ねています。入れ替わり制だとどうしても盗難のリスクというのは生じるため通し利用のみにして盗難防止(何かあったら即刻通報できる)策にもしています。また、時間単位で売るとどうしても目先の短時間利益を取りに行ってオーバーブック前提の営業になるので「ゆったりとした撮影体験」を確保するために日付単位で売るように敢えてしています。

清掃を管理人がする、と言うのは住居兼スタジオの利点です。別棟や通いだとどうしても清掃と帰宅・生活の時間を別に設ける必要があるため3時間程度営業時間を短くしないと成り立ちません、清掃しつつ洗濯や食事も両立することで営業時間外を10時間に削っても運営が成立します。また、雇いの管理人兼清掃担当者を入れると売上より支払い給与の方が高くなりかねませんし後述する盗撮のリスクを責任者がコントロールできない問題があるのでそこに対策したかったというのもあります。

そして、営業時間を14時間に延ばせると言うことは準備・撤収に4時間掛けても10時間は撮影やオフ会に使えることになります、宿泊できるスタジオ(埼玉県は小川町にあります)以外のスタジオとしては恐らく最長で2食食べて日帰りできるスタジオは恐らく他にありません(そもそも喫食禁止や調理禁止のスタジオが多いです)、営業上の最大の売り込み要素がそこになります。更衣室や他の部屋の電装品を極力有名メーカーの現行品で揃えているのは購入履歴と突き合わせて説明できるからです、年に数件盗撮事件が起きている業界としては電装品を説明できるもので揃えるのは最大の安全対策と考えています。

撮影スタジオのリスクは業界としてかなり高いものがあります、そのリスクを排除・低減しつつコストも減らすにはどうすればいいか、というのが撮影スタジオを作る上で真っ先に考えることになります。法人でも個人事業でもかなり難しい業態だと思っていますので安易に参入はおすすめできないです。

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