牛の心膜炎(心嚢炎)の多くは金属片が胃を貫き、心膜まで達する創傷性であることが多い。というかその報告がほとんどである。馬ではごくまれに感染性で起こることがあるが、原発感染巣が分からないことが多い。今回、育成牛で胸部打撲から心膜炎まで波及した症例に遭遇した。初診はT40度、活気食欲はなく、起立嫌悪。感冒様症状もなく、便も正常。体格は月齢通りで栄養状態も問題なかった。発熱があることから何かしたの感染症と推察し抗生剤と抗炎症剤投与を実施。第2病日、解熱するが、活気は相変わらず無し。起立するが、右胸部の腫脹を認め、心雑音を聴取する。独房へ移動し治療するも翌日チアノーゼを起こし死亡となった。剖検を実施し、心嚢内に多量の液を認め、心タンポナーデを起こし、心臓表面は多量のフィブリンで覆われ、右肺は肝変化を認めた。右胸部の腫脹あたりの心膜に血種を認めた。発症からわずか3日、十分な生前検査が出来なったとこが悔やまれた。診断が出来たとしても今回は救命は難しかったが、心雑音を聴取した時点でもっとやれることはあっただろう。打撲から心膜炎を実際に起こしたのか100%ではないかもしれないが、否定も出来ない。あらゆる可能性を考え今後に生かしたい。
ちなみにカルテの作成でファイルメーカプロを使用中。なぜ、レイアウトにエクセルのような表を作成できないのか、WindowsとMacで印刷に誤差がでるのか、思考錯誤中。自分で好きなように出来るのは楽しいが、いざ仕事用に作成するのは本当に大変だな。