PKCSは「Public Key Cryptography Standards(公開鍵暗号標準)」の略称で、RSA社が中心となって策定した一連の規格群です。暗号技術を実際に利用する際に必要となるルールをまとめ、異なる実装同士でも共通の基盤で扱えるように整備されたものです。
PKCS#1
RSA暗号や電子署名の基本仕様を定義しています。RSA暗号化や署名の手順、OAEPやPSSといったパディング方式も含まれます。
PKCS#5
パスワードベースの暗号化に関する規格です。特にPBKDF2(パスワードから暗号鍵を導出する手法)が有名です。
PKCS#7(現在はCMSに引き継がれています)
電子署名や暗号化メッセージの形式を定めています。S/MIMEなどのメール暗号化で使われています。
PKCS#10
証明書署名要求(CSR)の形式を定義しています。サーバ証明書を取得する際に認証局へ提出するファイルがこれに基づきます。
PKCS#11
通称「Cryptoki」と呼ばれる規格で、HSM(ハードウェアセキュリティモジュール)やスマートカードを操作するためのAPI仕様です。セキュリティ製品で広く利用されています。
PKCS#12
秘密鍵と証明書をまとめて格納するフォーマットです。拡張子.p12や.pfxのファイルとして利用され、ブラウザやOSに証明書をインポートする際に使われます。