一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • 変形性膝関節症

変形性膝関節症とは、膝の関節が加齢や過度の負荷によってすり減り、痛みや動きの制限を引き起こす疾患です。
中高年に見られ、関節内の炎症や関節組織の変性が関与し、末期には骨の変形も引き起こします。

変形性膝関節症の主な症状は大きく2つ。ひざの痛みと変形です。
また、疾患が進行するにつれてひざの可動域が徐々に制限されるようになり、末期には日常生活に大きな支障をきたすようになります。
正座やしゃがむ動作、階段の上り下りがつらくなったり、動き始めにひざが痛い、素早く動けない、歩行時にふらつくなどの症状がみられます。

起き上がるとき、動き出すときにひざがこわばる

正座、階段の上り下り、急な方向転換といった動作時に痛みを感じる

ひざの痛みがいつまでも続く

正座、深くしゃがむ動作、階段の上り下りなどが困難

ひざが腫れ、熱感を持つ

歩くときしむような音がする

ひざに水がたまる

末期に見られる症状

これまでに見られた症状がさらに悪化

歩く、座る、しゃがむといった日常的な動作が困難になる

痛みに苛まれる時間が長くなり、精神的負担が大きくなる

痛みの原因は、ひざの関節内にある「滑膜」の炎症です。
関節の中は関節液という液体で満たされていますが、炎症は関節液の中を漂う「軟骨のかけら」が関節の内側を覆う滑膜を刺激することで、炎症が生じます。
軟骨の表面は本来非常に滑らかで、こすっても簡単にはすり減りません。しかし、ひざは1日に何千回もこすれます。これが数十年続くと、すべすべしていた軟骨の表面はザラザラと毛羽立ちはじめ、軟骨自体が削り取られていくのです。こうして削り取られた軟骨のかけらが滑膜を刺激して、炎症を引き起こします。

ひざの変形は、軟骨がすり減った結果、骨どうしがぶつかり合うことで生じます。
軟骨がすり減って消失してしまうと、大腿骨と脛骨がぶつかり、互いの骨をすり減らしてしまいます。

骨には再生能力があるため、すり減って失われた骨を再生させようとします。しかし、ひざには常に体重がかかっているため、正しい位置に骨を再生させることができず、横にはみ出した状態で増殖してしまいます。
このはみ出して増殖した骨を骨棘と呼びます。

骨棘の形成が進むと、O脚やX脚のひざの変形も進行します
こうなると、ちょっとした動作でも激しい痛みを伴うようになり、やがてはひざを動かさなくても痛みを感じるようになります。
このような状態になると、手術を検討しなければなりません。

変形性膝関節症は、加齢によって発症することが多く、50代以降から急増します。また、比較的に男性より女性に多い疾患とも言われています。
ひざに負担がかかる状態である、肥満や筋力の低下、スポーツ歴などが原因とされています。

診察や検査で判別した重症度に応じて治療を開始します。

治療方法は「保存療法」と「手術療法」に分けられます。
初期は進行を遅らせる目的の保存療法がメインですが、末期に向かうにつれて手術療法にシフトしていきます。

近年、比較的重度の方にも適応がある新たな治療選択肢として、再生医療も加わりました。

重症度にかかわらず、全ての患者さんが対象となる治療法です。
ひざを支える筋肉を鍛えることで、痛みを軽減し、ひざへの負担を軽くすることができます。また、ストレッチで筋肉をほぐすことは、関節の可動域の維持と向上に役立ちます。

運動療法は変形性膝関節症治療の中心かつ基本であり、重症度にかかわらず常に継続すべきものと認識してください。

ひざの痛みが激しいとどうしても運動から遠ざかり、筋力の低下を引き起こします。
薬物療法の大きな目的の一つは、この悪循環を断つことです。

ひざ関節の中は関節液という液体で満たされています。
この関節液に近いヒアルロン酸をひざの中に注入することで、関節の滑りを滑らかにするとともに、痛みを緩和します。
薬物療法と併用されることが多い、最も一般的な保存療法の一つです。

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高柳 克功

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