一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

「日経50000円」がバブルかどうかについて、一言で結論を出すことはできませんが、現在の市場環境を分析し、バブルの可能性を議論することはできます。

以下の点から、**「全面的なバブルとは言い切れないが、一部に過熱感やリスクがある」** というのが多くの専門家の見方です。

### バブル説を支持する要因(警戒すべき点)

1. **歴史的な高値水準**:
* 日経平均株価が50,000円に到達することは、過去にない高い水準です。これだけ上昇すると、心理的に「高値警戒感」が生まれます。

2. **株価の上昇を支える要素の変化**:
* 以前は、業績の良い一部の大型株(**Seven & iホールディングス**や**ファーストリテイリング**など)に資金が集中し、それらが平均を引き上げる「押し上げ型」の上昇が目立ちました。これは歪みを生む要因です。

3. **円安の影響**:
* 日本の輸出企業は円安で業績が大きく恩恵を受けています。もし円安が修正され(円高に振れたり)、その状態が定着すると、企業業績の見通しが悪化し、株価の下押し要因になります。

4. **米国株価の高値**:
* 日本株は世界の株価、特に米国株の影響を強く受けます。米国で金利のさらなる上昇や景気後退懸念が強まれば、日本株も連れて下落するリスクがあります。

5. **個人投資家の過熱**:
* 新規口座開設数の増加や、特定のテーマ株への投機的な資金流入など、市場が加熱している局面もあります。

### バブルではないと考える要因(支持材料)

1. **企業業績の堅調さ**:
* 多くの日本企業の業績は過去最高水準を更新しており、株価の上昇をしっかりと支えています。株価が上がっても、**PER(株価収益率)** などの評価指標は歴史的なバブル期(1980年代後半)と比べると依然として低い水準です。

2. **ガバナンス改革と株主還元**:
* **東京証券取引所**による「株価算定の開示要請」など、企業に経営改善を促す動きが続いています。これを受けて、**自社株買い**の増加や**配当**の引き上げといった株主還元が活発化しており、これが株価の下支えとなっています。

3. **物価上昇(適度なインフレ)**:
* 長年続いたデフレから脱却し、適度な物価上昇が起きていることは、企業の収益環境を改善させるプラス材料です。

4. **海外投資家の資金流入**:
* 日本市場の構造改革や、長らく割安だった日本株を見直す動きから、海外の投資家から日本株への資金が流入し続けています。これは一時的な投機ではなく、長期的な視点に立った投資である可能性が高いです。

5. **内国法人などの買い**:
* 企業の財務体質改善により、自社の余剰資金で株式を購入する「内国法人」などの買いも安定して存在しています。

### まとめ

* **1980年代末のバブル期のような、根拠のない投機熱による全面的なバブルとは状況が異なります。**
* 現在の上昇は、**企業業績の改善**と**ガバナンス改革への期待**という、ある程度の実体に支えられた部分が大きいです。
* しかし、**「行き過ぎた円安」** や **「米国経済の減速」** など、外部要因による急落のリスクは常に存在します。

したがって、「日経50000円」はバブルというよりは、**実体を伴った上昇である一方で、高値域であるが故の変動リスクが高まっている局面**と捉えるのが適切だと考えられます。

**ご自身で投資を行う際は:**
* 単なる値動きに一喜一憂するのではなく、企業の本質的価値を見極めることが重要です。
* 投資はあくまで余剰資金で行い、リスクを十分に理解した上で行いましょう。

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張 鵬

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