一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

創業融資の審査において、最も頻繁に問われるポイントの一つが、「売上はどのように作る予定ですか?」という質問です。

これは単に売上目標を聞かれているのではなく、あなたの事業が本当に利益を生み、確実に返済できるかどうかを判断するための重要な質問です。

 

日本政策金融公庫(以下、公庫)の融資担当者が見ているのは、あなたの事業に“返済できるだけの利益が出る根拠があるかどうか” という一点です。そして、その判断の中心にあるのが 売上予測(売上計画) なのです。

 

ところが、創業者の多くはこの売上予測の作り方でつまずきます。

 

◇売上の見込みが大きすぎて現実味がない

◇数字の根拠を説明できない

◇競合状況や商圏などを考慮していない

◇客単価や客数に裏付けがない

◇売上と経費の整合性が取れていない

 

このような状態では、どれほど熱意があっても、「再現性のある計画とは言えない」と判断され、審査を通過できません。

 

この記事では、公庫の創業融資で評価される“根拠ある売上予測”の作り方 を、業種別の具体例を交えながら丁寧に解説します。

読み終わるころには、あなたの事業にとって妥当で説得力のある売上予測が作れるようになります。

1. 公庫の創業融資で最も重視される「売上予測」とは


まず理解すべきは、公庫が売上予測を“もっとも重視している”という事実です。

公庫の審査担当者は、最終的に「この人は本当に返済できるのか」という観点で融資判断を行います。

返済の源泉となるのは、言うまでもなく事業で生み出す利益です。

 

売上 → 利益 → 手元資金(キャッシュ) → 返済原資

 

この流れが健全であることを示すために、売上予測は欠かせません。

 

裏付けのない売上予測では、「希望的観測で作られた計画書なのでは?」と判断され、融資が通りにくくなります。

公庫が売上予測を“甘く見ない”理由

公庫の担当者は、年間で数百件もの創業相談に接し、成功した事業と、思ったように伸びなかった事業を知り尽くしています。

例えば次のような売上予測に遭遇した場合、担当者はすぐに違和感を覚えます。

 

◇開業初月から売上100万円と設定しているが、根拠が弱い

◇客単価の設定が業界平均から大きくズレている

◇競合調査がまったく行われていない

 

審査担当者は「数字そのもの」よりも、“なぜその数字になるのか”を論理的に説明できるかを重視します。

2. 売上予測は「分解して作る」が鉄則


売上予測を作る際に絶対守るべきルールがあります。

それは、売上を構成要素に分解し、積み上げ式で説明できるようにすること です。

 

最も基本的な公式は、次の通りです。

「売上 = 客数 × 客単価 × 来店(利用)頻度」

この構造は、どの業種でも変わりません。

違うのは「客数の算定方法」「客単価の根拠」「頻度の裏付け」です。

業種ごとの売上の分解方法

 

業種によって売上を構成する要素は多少異なります。

代表的なものをわかりやすい文章でまとめると、次の通りです。

 

● 飲食店の場合

売上は「席数」「1日の回転数」「客単価」「営業日数」で決まります。

たとえば18席の店で1日に2回転し、客単価が1,100円で、24日営業する場合、

自然と売上の上限が見えてきます。客数の予測を席数や回転数から割り出すことで、

説得力のある数字に近づきます。

 

● 小売店(アパレル・食品など)

小売業では「来店客数」「購買率」「平均購入単価」が重要です。

たとえ多くの人が店に入っても、購買率が低ければ売上は上がりません。

それぞれの数字に現実的な裏付けが必要です。

 

● 美容サロン

美容サロンの売上は「ベッド数」「施術可能人数」「客単価」で決まります。

ベッド数が2台で、1台あたり1日3名を施術できるなら、

その範囲内で売上の最大値が決まります。

 

● ECサイト

ネットショップでは「アクセス数」「コンバージョン率(購入率)」「客単価」の組み合わせが売上になります。

広告を出すのか、SEOだけで戦うのかによってアクセス数は変わるため、戦略と合わせた数字が必要です。

 

● BtoBサービス

案件ベースの事業では「提案数」「受注率」「案件単価」で売上を割り出します。

見込み顧客がどれくらいいるのか、営業活動をどれくらい行うのかが重要です。

このように、売上をただ「このくらい」と決めるのではなく、分解して作ることで、数字の根拠が明確になる のです。

3. 事業タイプ別|売上予測の具体例とその作り方


① 飲食店の売上予測

たとえば18席のカフェを開業する場合、売上の基礎となるのは席数と客単価です。

平日は2回転、土日は3回転すると想定すれば、1日の売上を計算できます。

これを営業日数にかけ合わせれば、月商の目安が導けます。

さらに、商圏人口や競合店の数、ポップアップや試食会の実績、SNSフォロワーなどを示すことで、客数の裏付けが強まります。

② 小売店の売上予測

小売店では、1日の来店客数が最も重要です。

例えば1日に50名が来店し、そのうち20%が購入し、客単価が1,800円であれば、1日の売上は18,000円になります。

ここに営業日数を掛けると月商が算出できます。

そのうえで、過去の出店経験、立地条件、ターゲット層の傾向などを提示すると、売上の根拠がより明確になります。

③ 美容サロンの売上予測

サロンでは施術ベッド数が売上の上限を決めます。

たとえばベッド2台で1台あたり1日3名の施術が可能であれば、1日の施術数は6名です。単価6,000円なら、売上は36,000円。

営業日数26日で月商が決まります。

これに対して、事前予約リスト、SNSフォロワー、ホットペッパーのデータなどを根拠として示すと、より信頼されます。

④ 物販ECの売上予測

ECはアクセス数が命です。

5,000アクセス、CVR1.5%、客単価4,000円とすると、売上は単純計算で30万円です。

ただし、広告投下の有無、SNS流入、検索需要分析などのマーケティング戦略と合わせて数字を示すことが大切です。

⑤ BtoBサービスの売上予測

BtoBでは「提案数」と「受注率」が肝になります。

月10件の提案、受注率20%、単価30万円であれば、売上は60万円。

見込み顧客リストや過去経験を根拠として示すと、説得力が高まります。

4. 売上予測を“現実的に見せる”市場・商圏データの使い方


売上予測の裏付けとして、商圏や市場規模を示すことは非常に効果的です。

特に飲食店や小売店、美容サロンなど実店舗型のビジネスでは、地域の人口、年齢構成、競合店舗数、通行量などが客数の根拠になります。

 

さらに、事前予約リストやSNSフォロワー数、ポップアップやテスト販売の実績などは、「すでに一定の顧客を獲得している」という証拠になります。これは審査担当者が最も評価するポイントの1つです。

 

また市場規模を示すにあたっては政府統計や調査結果を引用すると、その信頼性は高くなります。

5. 売上予測を“膨らませすぎない”ためのチェックポイント


売上予測は高ければ良いというものではありません。

むしろ、公庫審査で一番嫌われるのは「楽観的すぎる計画」です。

 

◇開業初月から満席を想定

◇競合より客単価が極端に高い

◇ベッド数や席数を超える売上設定

◇営業日数が多すぎる

 

こうした設定では、計画に無理があると見なされます。

逆に、売上が低すぎて利益が出ない場合もNGです。

返済能力や生活維持が難しくなるため、審査が通りづらくなります。

最も現実的で信頼される方法は、現実的な数字を設定したうえで、10〜20%の幅で調整すること です。

6. 売上予測と経費・利益の整合性を取る方法


売上がどれだけ現実的であっても、経費との整合性が取れていなければ審査は通りません。

 

美容室を例にすると、売上100万円なら材料費は10〜15万円、150万円なら15〜22万円と上がっていきます。

売上が増えれば経費も増えるのが自然です。

 

また、返済額が営業利益の50〜60%以内に収まっているかどうかも審査で重要なポイントになります。

7. 売上予測表の作り方


月ごとに客数・単価・売上・経費・利益をまとめた「月次売上予測表」を作成すると、審査の通過率が大幅に上がります。

開業直後は売上が低めに始まり、徐々に増加していく流れが自然です。

経費も適切に増やし、返済額を考慮したうえでキャッシュ残高まで示すととても信頼されます。

月次売上予測表の具体例(エステサロン)

8. 公庫面談で「売上根拠」を問われたときの答え方


面談で必ず聞かれるのが、「この売上はどうやって作るのですか?」という質問です。

この時、客数や単価の根拠を分解して説明し、競合調査や事前予約、SNSフォロワーなどの裏付けを示すことで、「数字の背景を理解している」ことを伝えられます。

質問への回答例も明確に準備しておくと安心です。

9. 専門家を入れるメリット


専門家が入ることで、数字の整合性が取れ、審査官の納得度が高まり、結果として融資通過率が大きく上がることがあります。

10. まとめ


創業計画書の売上予測は、あなたの事業の実現可能性を示す最も重要な要素です。

 

◇売上の積み上げ方を説明できること

◇売上の根拠を裏付けられること

◇売上・経費・利益・返済に整合性があること

 

これらを満たすことで、審査通過の確率は大幅に高まります。

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【商工会議所の元経営指導員、企業経営アドバイザー】 "補助金・融資に強い”経営コンサルタントです! ご不明点、ご相談等ございましたらお気軽にご相談ください。

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