【安倍総理とトランプ大統領】❷
英語を話せる安倍総理は、1時間、みっちりトランプと話し込む。政治経験のないトランプに、各国首脳の人柄をアドバイスしたり、北朝鮮による拉致問題、何より、とにかく中国の危険性を切々と説く。のちに米中貿易戦争に発展するアメリカの中国に対する厳しい態度は、この時からすでにスタートしていたのだ。
トランプ大統領は、とにかく安倍総理のことを信頼していた。G7の会合で、欧州の首脳たちと意見が分かれて収拾がつかなくなると、「シンゾーはどう思う?シンゾーの言うことなら従うから、話してくれないか」などと委ねることも一度や二度ではなかった。
また、外交や国際関係に関することで、何か決断を要するときは、「シンゾーはこの件についてどう言っているんだ?」「シンゾーがOKなら俺もOKだ」と頻繁に口にしていたという。
アメリカ国務省から、安倍総理に連絡が来ることもあった。「大統領が聞く耳を持ってくれません。安倍総理の言うことなら耳を貸すから、このことを話してもらえませんか」と。
そんな安倍総理とトランプ大統領は、5度に渡りゴルフを楽しんだ。楽しむと言っても、もちろん仕事である。マスコミなど入れずに、数時間も会話ができるのだ。世界で最も強い国のリーダーと、今や世界のメインプレーヤーになっていた安倍総理が、どんな話をしたのか、興味は尽きない。
海外の首脳から、度々訊かれたという。「どうしたらトランプ大統領とゴルフを組めるのか?」と。そう、トランプ大統領は、安倍総理以外の首脳とは一切ゴルフはやらなかったのだ。