この1年間で経験した変化や、新しく見えてきた視点について振り返ります。
長年フロントエンドのエンジニアとして実装に携わる中で、常に「デザインの意図をどこまで正確にコードに落とし込めているか」という課題を感じていました。単に渡された図面を再現するだけでなく、なぜこの余白なのか、なぜこのフォントなのかという根拠を自分自身でも理解したいと考えたことが、デザイン学習を始めたきっかけです。
エンジニアリングの「論理的思考」とは異なる、デザイン特有の「視覚的な意図の構築」を実務で並行させることで、いくつかの変化が生じました。
実装の難易度を考慮したデザイン設計
ブラウザ上での挙動やCSSでの制御を常に想定しながらデザインを組めるようになりました。技術的な制約を理解しているからこそ、実現不可能なデザインを排除し、かつ実装コストを抑えつつ効果的な表現を探るという思考に繋がっています。
デザインの細部に対する解像度の向上
自分でデザインを制作する経験を通じ、それまで見落としがちだった数ピクセルのズレや色のコントラストが持つ意味を、より深く意識するようになりました。この感覚は、エンジニアとして実装を行う際の精度向上にも寄与しています。
論理を組み立てるコードの記述と、感性を働かせるデザイン制作を交互に行うことは、予想以上に良い刺激となりました。一方の作業で行き詰まった際に、性質の異なるもう一方の業務へ意識を向けることで、適度なリフレッシュ効果が得られ、結果として全体の作業効率が維持される場面が多くありました。
「デザインもできるエンジニア」という言葉以上に、二つの領域をそれぞれ独立した専門職として捉え、並行して実践することの重みを感じた1年でした。
2022年に踏み出したこの第一歩を、2023年はより確かなものにし、領域を横断した独自のポジションを築いていくための糧にしていければと考えています。