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急落局面に直面した時にどうするべきか
2022年03月26日
急落局面に直面した時にどうするべきか
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今年は世界各国の中央銀行による利上げや、ロシアのウクライナ侵攻に伴い、株式市場をはじめとする金融市場は度々急落に見舞われています。このような荒れ相場において、個人投資家はどのように対応すれば良いのでしょうか。絶対にやってはいけないのは、「落ちるナイフ」をつかむことです。株価が急落している中、あえて買い向かう必要はありません。急落中であっても売買し利益を出さなければいけない機関投資家と違い、個人投資家は売買しなくても全く問題ありません。株価は上昇する時はゆっくりと進むものですが、下落する時は恐ろしいほどのスピードで急降下するものです。急落局面の時に大きなポジションを持っていると、精神的にも良くないもので、冷静な判断は非常に難しくなります。
また、株式市場は先行きが不透明であることをとにかく嫌います。戦争が勃発すると、マーケットは戦後を織り込み始めます。今回も「銃声が鳴ったら株を買え」、「遠くの戦争は買い」という格言の通り、あちこちで株を買う動きが出ています。実際、日経平均株価は2月24日に25970.82円、3月9日に24717.53円をつけた後、急騰しこのレポートを書いている段階(3月25日)で28149.84円まで一気に値を戻しました。ただ、今回の戦争が従来型の戦争なのか否かは誰にも分かりません。不透明感もあるので、そういう時には売買は控える、もしくは少額での投資にする方が無難だと思います。
株を買うなら下がりきったところで仕込みたいと誰もが考えますが、神様でない限り株価の大底は分かりません。「頭と尻尾はくれてやれ」という格言通り、底を打ったことを確認してから買いに入れば良いのです。その時に狙うべきなのは、ファンダメンタルズ(経営成績や財務状況)のしっかりした銘柄です。いわゆるバリュー株ですが、そうした銘柄の方が株価の戻り早いものです。株価急落局面では、バリュー株を選ぶことが基本だと思いますが、そこにテクニカル分析も加えるとより確度が高まると思います。テクニカル分析は過去の株価や出来高などのデータや経験則から分析する手法です。「出来高は株価に先行する」という相場格言がありますが、この格言は非常に信頼性のある格言であり、多くの投資家が出来高に注目しています。1日だけではなく、数日間、数週間という一定の期間で出来高が山のように盛り上がることが何度かあると株価が本格上昇する確率が高くなります。
今回は典型的な例としてソニーグループを取り上げたいと思います。ソニーは2000年3月に上場来高値を更新した後、株価は下落を続け、2003年に想定外の大幅減益を発表し「ソニーショック」と呼ばれる事態を引き起こしました。また2008年にも大幅な下方修正をし、株価は大幅に下落しました。これらの際にも出来高は膨らみましたが、2013年の際にはこれらの時とは比べ物にならないほどの出来高の山となりました。これが結果として買いのサインとなりました。この時、ソニーから何か大きな材料が発表されたのかというとそんなことはありません。あえていうと、アベノミクスが発表され外国人投資家が日本株に注目していた時期であり、外国人にも有名なソニーの株価が1000円前後ということで、割安水準にあると感じた買いが入ったのではないかと言われています。外国人投資家の持株比率は2012年は33%、2013年は40%、2014年は52%と急上昇しました。このように新たな買いが入った時に、株価は大幅に上昇します。ソニーの株価は3月25日時点で12855円に達しており、テンバーガー銘柄となりました。ソニーのような大型株でもテンバーガーは十分に達成可能なのです。株価の上昇に出来高が非常に重要だということをご理解いただけたのではないかと思います。
また私が最も重視している指標が移動平均線です。移動平均線は5日平均線、25日平均線、75日平均線が王道の平均線となりますが、それぞれの銘柄でしっくりくる平均線は異なるので、そこは銘柄分析をしながら一番しっくりくる平均線を選ぶのが良いかと思います。下落トレンドが終わり、上昇トレンドに転換したかどうかをチェックするにはこの移動平均線を使います。株価が5日・25日・75日の移動平均線を下から上へぶち抜き、上から順番に5日・25日・75日移動平均線が並び、それぞれの移動平均線が上向きになる。これを「順の並び」というのですが、この状況になることが上昇トレンドのサインと言われています。このような綺麗な状況になってから、慌てずに投資をするのがおすすめです。
急落局面は度々やってきます。決して慌てず、ご自身の資産を守り抜くという守りの運用が重要になります。大きく深呼吸しながら投資に取り組んでください。
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投資銀行にてM&Aアドバイザリー業務、PE(プライベート・エクイティ)業務に従事していました。 経済、投資等についてのアドバイスを行っています。
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