歯みがきをしたあと、「口をしっかりゆすいだほうがいいのか? それとも、なるべくゆすがないほうがいいのか?」と悩んだことはありませんか?
実はこの問いには、どちらが正しいとは一概に言えず、その人が何を目的として歯みがきをしているかによって、答えが変わってきます。
むし歯予防が目的なら「ゆすがない」のが効果的
現在、多くの歯みがき粉には「フッ素(フッ化物)」が配合されています。
このフッ素には、歯の表面のエナメル質を強化し、初期のむし歯を修復する「再石灰化」を促す働きがあります。
ところが、歯みがきのあとに何度もお口をしっかりゆすいでしまうと、その大切なフッ素がすべて洗い流されてしまい、効果が薄れてしまいます。
そのため、むし歯をしっかり予防したい場合は、歯みがきのあとはできるだけゆすがずに、フッ素を口の中に残すほうが望ましいとされています。
ゆすぐ場合でも、ほんの少量の水(15ml程度)で1回だけにとどめるのが理想的です。
また、フッ素の効果をより高めるためには、歯みがき後30分ほどは飲食を控えることもおすすめです。
でも、「必ずゆすがないほうが良い」とは限らない
一方で、歯みがき粉の泡立ちや味が苦手な方、小さなお子さん、あるいは口の中に何かが残っている感覚が苦手な方などは、無理に「ゆすがないケア」を続けようとすると、かえってストレスになる場合もあります。
また、歯周病対策や口臭ケアを目的として歯みがきをしている場合には、フッ素の残留よりも、プラークやバイオフィルムの除去を優先したほうが効果的なので、しっかりゆすいでも問題ありません。
さらに、研磨剤が多く含まれた歯みがき粉を使っている場合も、磨いたあとに少しゆすいでおいたほうが口腔内にとって優しいと言えます。
子どもの場合はどうする?
お子さんの場合は、うがいがきちんとできるかどうかがポイントになります。
一般的には3歳頃からうがいの練習ができるようになり、それ以降であれば「少量の水で1回だけゆすぐ」「もしくはゆすがない」といったケアが可能になります。
うがいができない年齢のうちは、フッ素入りの歯みがき粉を使用する場合でも、ごく少量(米粒くらいの量)にとどめることで、誤って飲み込んでしまうリスクを抑えることができます。
まとめ:目的に合わせて「ゆすぐ or ゆすがない」を選びましょう
歯みがきの後にお口をゆすぐべきかどうかは、その人の目的や状態によって異なります。
むし歯予防を第一に考えるなら、「ゆすがない」「または少量の水で1回だけ」が推奨されます。
一方、口の中のスッキリ感を大切にしたい方や、歯周病・口臭対策を目的にしている方は、しっかりゆすいでも大丈夫です。
どちらが正解というよりも、その人にとっての最適なケア方法を選ぶことが何より大切です。
ご自身の目的や習慣に合わせて、ぜひ今日から「自分に合った歯みがきの仕上げ」を意識してみてください。