一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • 「頑張ればいいことある」は本当か?

今年の春から、とある企業(以下、A社)に週3日ほどお勤めに出ています。

これまでのキャリアに迷いがあり、新しい分野に挑戦してみよう!と思ったのがきっかけ。簡単に言うと、0から1を生み出す仕事や、マーケティング要素のある仕事がしたかったのです。

非常に小さな、田舎の組織なので不安だったけど、その分大手では任せられない仕事ができそうな点に魅力を感じました。まあ永久就職するわけでもないからヤバそうだったら辞めればいっか、と。

しかし、「ヤバそう」は案外早く訪れました。1か月目で、です。

・入社前なのに無給で打合せに駆り出される

・仕事を教えてくれると思っていた人が病気療養で1か月休職。その間、ほぼ放置

・休んだ本人は一応役職付きだが、責任感は皆無

・DX化はまったく進んでおらず、紙の経費精算

・「研修をしてほしい」と願い出るも、濁される

・意思決定のスピードが尋常じゃなく遅い

・社長がパソコンを一切使えない

・契約書に明記されていない業務をいきなり頼まれる

・しかも何のガイドラインもなく丸投げ

・取引先に出す資料の最終確認をしない。なのに後からキレる

・イベント時の情報共有が杜撰で、広告に掲載した商品の用意をしていなかった。指摘されるまで誰も気づかない

・現場スタッフに尻ぬぐいをさせたことに対する謝罪は一切なし

・組織体制の不備を指摘すると、「人が辞めたせい」の一点張り。しかしその退職者は皆アルバイト。社内にノウハウが蓄積されていないことに対する問題意識はなし

・アルバイトにおんぶに抱っこでありながら、都合が悪くなると切り捨てる(例:就業規則にある「取得できる休暇」は社員向けだからアルバイトには適用されないと言われた)

・納税、クレカ支払いなどに関する催促もしくは期限切れのメールが毎日大量に届く

・社長が「俺がクビにすると言えばいつでもクビにできる」的発言を何度もする

・10人以下の組織にもかかわらず派閥が存在する(らしい)

以上。。。あらためて文字にするととんでもないですね。もちろん即刻辞めます!

でも、いいこともあった。

で、ここからがタイトルの話になるんですが……。

週3日勤務なので、残りの2日は自分の仕事の時間です。んで、営業活動を進めるなかで「A社でやってることに近い仕事をフリーランスの仕事としても取ってくれば勉強になるし、一石二鳥なんじゃない?」とひらめきました。

なんせ未経験にもかかわらず丸投げですからね。会社が教えてくれないなら自分で勉強しようと思ったわけです。

結果は惨敗。……と思いきや、1か月以上経ってB社からメールがあり、なんと仕事を依頼されることに! A社での業務経験を話したら「すごいじゃん!」と言って、面白がってくれました。まあ、普通のアルバイトや平社員、フリーライターなら絶対にやらない範囲の業務(経営に関わる部分)ですからね……。

A社に勤めていなかったら、B社に興味をもつこともきっとなかったでしょう。しかも、最初の動機である「0から1を生む仕事」「マーケティング要素のある仕事」にもマッチ。何より担当者の仕事が早く信頼できそう。……ていうか、これが普通か? これ以上あの組織に居ると、私の感覚まで鈍くなってしまいそうです(笑)

頑張ったらいいこともある、けど……

色々あったけど、不満を言いつつ一応まじめに取り組んだら評価してくれる人もいるってことですね。

でも、「頑張ったらいいことある」って、いつでもだれにでも当てはまる言葉ではないと思うんです。私は理不尽な扱いを受けたらすぐに抗議して、相手がろくでもないと分かったらサクッと損切りできるタイプの人間ですが、まじめで気が弱く、心優しい人だとそうもいかない。

こういう人がブラック企業に勤めて「頑張らなきゃ……」って思うと最悪の掛け合わせが誕生してしまいます。

つまり、「頑張ったらいいこともあるよ」って結果論として自分が自分に言う分にはいいけれど、他人が使う言葉ではない気がします。自分にとっての成功体験が、ほかの人に当てはまるとも限らない。

すでに頑張っている人に追い打ちをかける言葉として使わないように、戒めとしてもっておきたいと思います。

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酒井 理恵

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