一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • 個人事業主こそ移動を仕事に活かすべき理由:小さな旅が成長を生む

仕事と旅:個人事業主にこそ“移動”がもたらす力

個人事業主として働く皆様にとって、「場所への自由」が働き方の一つの魅力です。 しかし、日々の業務を自宅や慣れたカフェ、同じ場所でのみ行っていると、仕事・発想・出会いが停滞しがちです。 本稿では、「わずかな旅」「フットワークを軽く動く」ことが、むしろ仕事の成長を促す有効な戦略であることを論じます。


1. なぜ“動く”ことが仕事を呼ぶのか

移動すれば、知らない人との出会いや、新しい視点、異なる環境での刺激が得られます。
これらはすべて、ネットワークや発想、運の巡り合わせ(“ツキ”)を引き寄せる要素と成り得ます。
実際、企業創業者・起業家に関する研究では、「従業員として働いた経験を経て、職場を移動し、自ら起業した“スピンアウト”企業は、通常の新規参入企業よりも生産性・業績が良好である」という実証が存在します。 atlantafed.org
これは、「移動」や「環境変更」「人的ネットワーク変化」がイノベーションや成長に寄与しうることを示しています。


2. 個人事業主にとっての「旅・移動」の具体的メリット

以下、特に注目すべき点です:

  • 新たな出会い・ネットワーク:旅先や移動先では、普段会えない人・環境と接点を持てる可能性が高まります。人との接触が増えれば、仕事の相談、案件紹介、協業などのチャンスも生まれやすいです。

  • 刺激と発想刷新:普段とは異なる空間(異なる土地・異なるカフェ・旅先の宿泊先)で作業/思考することで、視点が変わりアイデアが湧きやすくなります。

  • 運・ツキが動く環境:移動=“動く”という行為自体が、自身を“動く人”の位置づけにしてくれます。固定された場所にいるより、動き回ることで“何か起きそうだ”という心理的・社会的モードに切り替えやすくなります。

  • リセット効果・集中変化:環境を変えることで、仕事以外の「慣れたルーティン」「思い込み」から離れやすくなり、結果として集中力が上がったり、意欲が湧いたりします。


3. 家に居続ける働き方にも利点はあるが、偏りのリスクも

確かに、家に居ながら作業することには大きなメリットがあります。通勤不要、集中できる環境を整えやすい、生活とのバランスを取りやすいなどです。
ただし、常に同じ場所・同じ視界・同じ人間関係にいると、以下のようなリスクがあります:

  • 発想の停滞、視野の狭まり

  • 人と会う機会・偶発的な出会いの減少

  • “何か変えたい”という外部刺激が欠けることで、意欲や熱量が衰える可能性

個人事業主として「自由な働き方」を選んだのであれば、あえて“外への動き”を設計することも戦略的と言えます。


4. “小さな旅”を仕事フローに組み込む方法

旅=長期・遠方ではなく、以下のように“無理なく取り入れられる”方法があります:

  • 電車で1時間ほど移動できる近隣の場所で1泊して作業する

  • 普段使わないカフェやコワーキングスペースへ行ってみる

  • 朝や夕方だけ違う景色の場所で仕事を設定する

  • クライアントとの面談を「カフェ+軽い移動」で集中して実施する

  • 業務の“インプット日”として、移動+新しい環境での情報収集を設ける

こうした“ちょっとした移動”が、フットワークを軽くして、仕事を呼び込む入口になると私は考えます。


5. 実証的なファクトと留意点

  • 例えば、アメリカの調査によれば、従業員から起業へ転じた人たち(移動あり)は、一般の起業よりも成績・成長可能性が高いという証拠があります。 atlantafed.org

  • ただし、起業・自営業そのものが「必ず上向きモビリティ(社会的/収入的上昇)を伴う」と言えるわけではなく、研究によっては「自営業者の収入成長は給与所得者よりも低めである」という報告もあります。 Urban Institute

  • つまり、“動く=成果”ではなく、「適切な準備」「ネットワーク」「環境変化に対応する能力」が伴ってこそ、移動は仕事の機会を拡げる有効な武器になります。


おわりに

個人事業主としての自由を最大限に活かすなら、ぜひ「旅」や「移動」を働き方の一部に取り入れてほしい。
日常と少し距離を置いて、環境を変えることで、新しい出会い・刺激・運を呼び込むことが可能です。
もちろん、家にこもって仕事を進めるスタイルにも価値があります。しかし、“ときどき動く”ことを戦略として使うことで、仕事の幅・深み・成果は確実に変わるはずです。

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