インターネットを通じてビジネスを行う現代において、ウイルスやマルウェアなどのサイバー攻撃は企業だけでなく、個人事業主にも深刻なリスクをもたらしています。取引先とのメール、クラウド会計サービス、オンラインバンキング、SNS運用など、日常業務の多くがネット上で完結する今、セキュリティ対策は「大企業だけの問題」ではありません。ここでは、個人事業主がウイルス対策ソフトを導入すべき理由と、選び方・運用のポイントを解説します。
■ なぜ個人事業主にもウイルス対策が必要なのか
1. 顧客情報・取引情報の漏えいリスク
個人事業主でも、顧客の氏名・住所・メールアドレスなどの個人情報を扱うことが多くあります。もしウイルス感染により情報が漏えいすれば、信用失墜や損害賠償請求に発展する恐れがあります。特にフリーランスや小規模事業では、一度の事故が取引停止や契約打ち切りにつながりかねません。
2. ランサムウェアの脅威
ファイルを暗号化して使用不能にし、復旧と引き換えに金銭を要求する「ランサムウェア」被害も増えています。業務データや請求書類、顧客管理表が人質に取られれば、業務は即停止です。ウイルス対策ソフトを導入していれば、感染を防ぎ、被害を最小限に抑えることができます。
3. サプライチェーン攻撃の対象にもなる
「自分は小規模だから狙われない」と思うのは危険です。攻撃者は、大企業に直接侵入するよりも、取引先の小規模事業者を経由して攻撃する手口を多用しています。取引先からも「安全な相手」と見なされるためには、セキュリティ対策の実施が信頼の証になります。
■ ウイルス対策ソフト導入のメリット
リアルタイム保護:常に最新のウイルス定義ファイルで監視し、不審な挙動を検知。
フィッシング対策:不正なWebサイトへのアクセスを自動でブロック。
メールスキャン:添付ファイルやリンクに潜むマルウェアを検出。
デバイス保護:USBメモリや外付けドライブ経由の感染を防止。
パスワード管理・VPN機能付き製品:安全な通信やログインを支援。
このように、単なる「ウイルス駆除」にとどまらず、総合的なセキュリティ対策として機能するのが近年のウイルス対策ソフトです。
■ ソフト選びのポイント
信頼性の高いブランドを選ぶ
トレンドマイクロ(ウイルスバスター)、カスペルスキー、ノートン、ESET、マカフィーなど、世界的に評価の高い製品を選びましょう。
複数デバイス対応か確認する
PC・スマートフォン・タブレットなど、業務に使用するすべての端末を一括管理できるタイプが便利です。
動作の軽さとサポート体制
常駐監視でパソコンの動作が重くならないか、またトラブル時に迅速に対応してくれる日本語サポートがあるかを確認しましょう。
コストパフォーマンス
個人事業主向けプランは年間3,000〜8,000円程度が相場。セキュリティ事故の損害を考えれば、「保険料」として十分に安価です。
■ 導入後の運用ポイント
自動更新をオンにする:ウイルス定義ファイルを常に最新に保つ。
定期スキャンを設定する:週1回程度の全体スキャンを自動化。
OSやアプリの更新も忘れずに:ソフトが最新でも、脆弱なOSでは意味がありません。
不審なメールやサイトに注意する:技術対策と同時に、利用者の意識も重要です。
■ まとめ
個人事業主は「自分ひとりの責任」でビジネスを運営しています。そのため、セキュリティ事故が起きたときのダメージも自分に直接跳ね返ります。ウイルス対策ソフトは、事業継続を守るための最低限の投資であり、信頼を守る第一歩です。
「セキュリティは後回し」ではなく、「最初に整えるインフラ」として導入を検討しましょう。安全なデジタル環境が整えば、安心して本業に集中できるはずです。
2025.11.3