非機能要件(Non-functional Requirements)は、システムが「何をするか(機能)」ではなく、「どの程度の品質で動くか」を定義する、いわば「システムの基礎体力」です。
ユーザーがストレスなく、安心して使い続けられる基盤を作るための考え方を、主要な視点別に解説します。
1. 可用性と信頼性(Availability & Reliability)
システムが「いつでも当たり前に使える」状態を維持するための要件です。
稼働率の目標設定: 年間や月間で「何%稼働させるか(SLA)」を決め、計画停止以外のダウンタイムを最小化します。
二重化(冗長化): サーバーやネットワークを予備を含めて構成し、一部が故障してもサービスを止めない仕組みを作ります。
2. 性能と拡張性(Performance & Scalability)
アクセスが集中しても「サクサク動く」快適さを担保するための要件です。
レスポンスタイム: 画面を開くのに何秒以内か、検索結果が何秒で返るかといった「速さ」の基準を設けます。
スケーラビリティ: ユーザー数やデータ量が10倍に増えても、設定変更やサーバー追加だけで柔軟に対応できる余裕を持たせます。
3. 運用・保守性(Maintainability & Operability)
リリース後の「運用コスト」を抑え、改善を容易にするための要件です。
監視とログ: システムの異常を即座に検知し、トラブル時に「何が起きたか」を後から追跡できる仕組みを組み込みます。
バックアップ: 万が一のデータ破損に備え、どの時点まで、どのくらいの時間でデータを戻せるか(RPO/RTO)を定義します。
4. セキュリティ(Security)
企業の信頼を守り、不正アクセスや情報漏洩を防ぐための強固な「盾」です。
認証と認可: 「誰がログインできるか」だけでなく、「誰がどのデータを見られるか」という権限を厳格に管理します。
脆弱性対策: 外部からの攻撃(SQLインジェクションなど)を防ぐコーディング規約や、通信の暗号化を徹底します。
5. ユーザビリティ(Usability)
誰にとっても「使いやすく、迷わない」操作性を実現するための要件です。
アクセシビリティ: 高齢者や障害を持つ方、あるいはスマートフォンの小さな画面からでも、必要な操作がスムーズに行えるよう配慮します。
ヘルプと多言語対応: 操作マニュアルがなくても直感的に使えるUIや、グローバル展開を見据えた多言語切り替え機能を考慮します。
📈 具体的な活用イメージ
大規模セール時: アクセスが通常の100倍に跳ね上がっても、自動でサーバーが増強され、サイトが重くならない(性能・拡張性)。
深夜のシステム障害時: 自動で管理者に通知が飛び、予備サーバーに切り替わることで、朝にはユーザーが気づかないうちに復旧している(可用性・運用性)。