一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

人工林を守る上で欠かせない間伐だが、それが実行されていない原因はさまざま挙げられる。だが、つまるところは経済的な問題である。人手不足や不在森林所有者が増えているなどという原因も経済的な問題さえ解決されれば、何とでもなるはずである。30年~50年もかけて育てた立木1m3あたりのの価格は4000円~7000円といわれている。ひどい場合には3000円台などということも。これではまったくの赤字である。超がつくほどの安価で輸入される外材との競争力を持たせるために、末端価格があらかじめ決められている。製材や市場での手数料は、適正な利益が乗せられている。しわ寄せは、森林所有者に押しつけられているのである。成長した主伐材ですら、これほど買いたたかれるのである。間伐材が利益を生むはずもない。1980年を100としたときの2000年の立木価格はなんと34にまで落ち込んでいる。それなのに、伐採にかかる賃金は149、苗木代は174になっている。これで利益をあげるというのは、よほどのウルトラCを編み出さない限りできることではない(その意味でも、今回の現場レポートで扱っている気仙地方森林組合の試みは注目に値する)。

間伐を採算ベースで行うのは事実上不可能なので、特定の条件を備えていれば国や県、あるいは市町村からの補助金が出ることになっている。金額は条件によって異なるが、間伐にかかる経費のほぼ7080%に及ぶ。問題なのは、それほどの補助金があっても赤字になるから間伐ができないという事実である。平成12年の統計だが、間伐を行ったというのは3ha以上の森林経営者の17.7%しかいない。残りの82.3%は実施しなかったと回答している(主伐に至っては1.8%しか実施されていない!)。

だが、赤字だからと手をこまねいていれば、状況はさらに悪化するばかりである。ここでは、現実的な打開策を考えてみよう。

まず、労働力と資本の集約。日本の民有林では林家、つまり森林経営者の中で所有林が5ha以下の林家が全体の約75%を占めている。面積比で見ると約25%。小規模の森林経営者がばらばらに行動していては、現在の森林不況の波を乗り切れるとは思えない。全国に1200近くある森林組合などの共同組織に加入したり、協同組合の設立などを通して、間伐、主伐、輸送などの労働力を集約することが先決である。さらに、そうした各森林組合の合併や協同による人力、機械力の集約も検討すべきだろう。さらに、その先に共同の製材工場などをもつことができるようになれば、理想的だ。国や県にも、補助金だけではなしに、こうした山村の構造改革を促進する施策の更なる充実が求められる。

もうひとつは、これまでの林業の常識を疑え、というもの。1ha3000本の苗木を植えるというのは、除間伐をはじめとした間伐材の用途が例えば薪や炭、足場などなどに利用され、捨てるものがない時代の常識だったのではないだろうか? 確かに、密集して植えなければまっすぐな杉は育たないにしても、もう少し少なくても、あるいは半分の1500本でも状況によっては杉の生育は可能なのではないか? また、現在の杉の人工林では下生えはあるが、広葉樹が混在するような林はほとんど見かけない。だが、杉や檜がある程度育ってしまえば、有用な広葉樹を残すことは、杉や檜にとってプラスにはなっても、マイナスにはならないという。広葉樹の落ち葉がより地味を上げる効果も期待できる。これは鋸谷式間伐で知られる鋸谷茂氏が「究極の人工林」として注目している伊勢神宮の宮域林で現実に行われている造林法だ。この宮域林では、胸高直径の檜を少しでも早く育てるために、間伐をくり返しながら、広葉樹も混在させている。

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松 伸之

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