「フリーランス新法」の公布と11月施行に向けた遵守事項
2024年5月現在、個人で仕事を請け負うフリーランス(特定受託事業者)の取引適正化を目的とした「フリーランス新法」が公布され、同年11月1日の施行に向けた準備期間に突入している。公正取引委員会および中小企業庁が2024年5月までに公表した指針によれば、本新法は「取引の適正化」と「就業環境の整備」の二柱から構成されており、発注側事業者(特定発注事業者)に対して厳格な遵守事項を課している。
2024年5月時点の実務において、最も注視されているのは「取引条件の明示義務」である。業務委託契約を締結する際、業務の内容、報酬の額、支払期日等を書面または電磁的方法(メールやチャットツール等)により、直ちに明示することが法律上義務付けられた。これにより、従来散見された「口頭発注」や「条件の後出し」によるトラブルを物理的に抑制する構造が構築されている。また、報酬の支払期限については、成果物を受領した日から起算して「60日以内」のできる限り短い期間内に設定することが義務化された。
就業環境の整備に関しては、ハラスメント対策の体制整備、および継続的業務委託における育児介護等との両立支援、不当な契約解除の事前予告(30日前まで)などが含まれる。統計的な動向として、2024年5月時点では多くの企業が法務部門による既存契約書のリーガルチェックや、発注フローの見直しに着手しており、コンプライアンス遵守の観点からフリーランス保護の仕組みをシステム化する動きが加速している。
これらの法的要件の整理は、2024年5月当時において、日本国内の労働市場が「個別の契約自由」というフェーズを脱し、フリーランスという就業形態を法的・客観的に保護し、取引の透明性を確保するための新たな社会基盤を構築し始めた実態を示す指標となっている。