仕事柄、最初に出てくる「要件」を尋ねる事から始めますが
そもそもズレていることが多い。
これは、クライアントが悪いとか
誰かが無能だとか、そういう話ではありません。
前提が違っていたり、
手段が目的化していたり、
社内の事情や政治的な力関係が
曖昧なまま濁されていることがほとんど。
ときには
表に出ていない裏の目的があったり、
本当の意思決定者が不在のまま
プロジェクトが走り出していることもある。
自分がオリエンを受けて
そのまま「分かりました」と言わず、
オリエン返しをするのは、このためでもある。
前提を疑い、
問いを投げ返し、
Why から話を組み直す。
正直に言って、
クライアントに忖度する気はない。
それは否定したいからではなく
ちゃんと向き合って、その仕事を前に進めたいからこその
自分なりの本気の姿勢でもある。
ただ、これは個人の問題というより
もっと根深い構造の話でもある。
この状況をつくってきたのは
長年積み重なった企業風土だったり、
何でもイエスと言うことで
関係を保ってきた代理店営業のあり方だったり、
決定権が一部に集中した権力構造だったりする。
誰か一人が悪いわけじゃない。
でも、その結果として
「問い直されない前提」だけが
温存され続けてきた。
現場で共通して感じるのは、固執。
過去の成功体験への固執。
慣習や現状維持への固執。
権力や立場を手放せないことへの固執。
売上や数値だけを追い続けることへの固執。
どれも、一つひとつは理解できる。
でも重なったとき、慣れすぎた時に前提は疑われなくなる。
だから現場でやろうとしているのは、
完璧な要件を整えることではない。
帰ってこられる場所をつくることだけ。
今、自分たちはどこに立っているのか。
何を前提に考えているのか。
何を目的としているのか。
それを
その時点の現在地として
言葉でピン留めしておく。
正直、
6W2Hだけで十分だと思っている。
誰が
何を
なぜ
誰のために
いつ
どこで
どうやって
いくらで
これが揃わないまま
走り出している仕事があまりにも多い。
逆に言うと、6W2Hを整理するだけで最低限大丈夫。
要件定義は
一度決めて終わりではない。
間違えたら戻ればいい。
ズレたら修正すればいい。
その差分にこそ、学びや成長がある。
最初から正解を当てる必要はないし、正解なんて誰にも分からん。
本当は
Issueから始めるべきなのに、
どうでもいいことが
仕事として量産されている。
僕の言う、要件定義とは
仕様を固めることではない。
これは、今やるべき問いなのか。
そこに何度でも立ち返るための原点でもある。
要件定義を丁寧にやると、
仕事は遅く見えるし、時間は確かにかかる。
でも要件定義をしない仕事は
だいたい途中で止まるか、壊れるか、やっつけ仕事になる。
やっているのは
賢くすることでも
速くすることでもない。
まず
同じルールで話せる状態をつくること。
問い直せる場所を残すこと。
最近、特に強く感じていることがある。
間違った要件定義のまま強制的に進めさせられる仕事ほど、
ブルシットジョブになりやすい。
かなりの確率で。
目的がズレたまま、
意味を疑うこともなく、
手段だけを回し続ける。
そういう環境は
今もまだ、あちこちに残っている。
むしろ、そんな状態ばかりで溢れている。
特に行政関連のプロジェクトなど、
民間も全てではないが会社規模が大きい、
古い体質な程その傾向が色濃い。
使い古された、時代遅れの仕様書。
現場を知らない人が作った前提。
それに沿って進めることだけが求められる構造。
過去の実績だけに準えた評価システム。
やった事がない新しいチャレンジへの抵抗。
疑う余地はない。
ただ、こなすだけ。
売上のために。
だが、そんな地域や古い体質にこそ
自分が入り込んで変えれる部分には介在していきたいと思っているし
個人だからこそ、フットワーク軽く真剣に向き合える。
是非、知ってほしいことは
要件定義のスキルは
一部の専門職だけが身につけるものではない。
本当は全人類に必要なスキル
だと思っているし会社員なら、なおさら必要。
プロジェクト設計。
メンバーへの依頼整理。
協力会社への発注。
個人の旅行プランでさえも。
誰かがどこかで何かを始めるとき、
必ず要件は発生する。
それを整理し、
前提を揃え、
目的を言葉にする。
それが要件定義だと思う。
とはいえ、会社員として働いていた頃の現実もよく分かっている。
売り上げや納期。
対会社、対組織のルール。
理屈では分かっていても、
とりあえず進めないといけないプロジェクトは確かにあった。
何となく形はなしているが、疑問が残る納品。
誰も得をしないと分かっていながら、やらざるを得ない仕事。
それを否定するつもりはない。
あれはあれで、
組織の中で生きるための現実だった。
ただ、その何の生産性も無いしがらみを
一旦、ゼロにしてみたくなった。
独立した今は、吹けば飛んでいくような存在だと思う。
でもそれは、デメリットだけではない。
何にも縛られず、自分の意思で
自己責任のもと、好きなところに行ける
自由に飛ぶ方向を選べるということでもある。
個人なんてキャパシティは限られている。
だからこそ
やりたい人と、やりたい仕事を選ぶしかない。
それを自分の意思と責任でやりたかった。
だからこれからは、
手の届く範囲でいい。
無理に広げない。
数を追わない。
その代わり
関わる人達とは、本気で向き合う。
その準備が20年かけてようやく整った。
前提を揃え、
問いを立て直し、
言葉を濁さない。
今は
言語化の流布師として
言語化、要件を整理する、問いを立てる役割、
その重要性を流布していきたいと思っています。
派手なことはできない。
でも
ちゃんと進めるための
要件定義と、言語化を。
AI時代の今だからこそ
自分の届く範囲で
丁寧にやっていきたい。