第三回目の今日は、ロボットビジネスの深堀をする前に、すなわちビジネス戦略などの前に抑えておきたいいくつかの事柄に話を進めたいと思います。
そして、その前提となるのがロボットと人で共同して創造していく社会です。
ロボットにとっての外部環境(外的要因)の鍵を握るのが、IOT(モノのインターネット)社会です。そして内部環境(内的要因)の鍵を握るのが、AI(人工知能)です。
ビッグデータとセンサーは、ロボット社会においてインターフェース的な役割を果たしてくれると思います。
もちろん、IOTやAIにせよ、またはビッグデータにせよそれぞれ広義の通信技術あるいはネットワーク技術によって相互に発達した世界観を持ちますが、それらはロボット社会のインフラになっていくでしょう。そうした社会的なインフラ発達にともない、ロボットは私たちの社会の環境や一員になります。
人間と同じようにロボットが成熟した知能を持つように成れば、ロボット同士が自立したコミュニティーを持ちえます。しかし一方で、機械である限り人間社会に奉仕する使役機械という面も失われることはないでしょう。それは、ロボットが知能を持つとか持たないとかの問題ではなくロボットに対する私たち人間自身の問題です。
僕が期待するのは、ロボット社会と人間社会の価値が融和する社会です。希望と可能性は十分にあります。2020年現在のロボット社会を未来に投影できるとしてもそれは人間にとっての影のようなものであり、実際は輝かしい未来からの投影により、逆算的に現在が過去世であることが望まれます。技術が不可逆的に進歩して、科学が革命的に変貌を遂げるデジタルな不連続社会がロボット機械的だとすれば、生命や人間生活はアナログ的連続です。言い方を変えれば、ロボットは、電気的信号世界にあり、僕らはゆらぎの世界に生きているようなものです。そこで融合でなく融和なのです。価値のすり合わせを行いながら生きるか、価値を租借してブロック化して組み立て生きるかになるでしょう。ただこれは2020年という今の段階でのことです。もしかするとこうした関係性を近い将来に量子科学が覆すかもしれませんが、物理的にも心理的にも価値が融合となれば、僕らはもはや精巧な人間機械になってしまうかもしれません。それを僕は危惧する一方で、想像することもできません。しかし感情が爆発によって世界を破滅に導かなければ、理性的に新しい未来を選択することができると僕は信じています。未来が現在の延長上になくても問題はありません。ロボットは人間の究極的模倣として、また人が人として一緒に共存共栄していく人とロボットの共創社会を実現する為に邁進したいと思います。ここまでご精読りがとうございました。
2020/09/25 Fry E.Kansai