昔話『かぐや姫』のもとになっている『竹取物語』には、翁が激怒する場面が描かれています。月の国の人たちと戦うことはできないと言うかぐや姫に、翁は、「お前を迎えに来る人を、長い爪でその目をつぶし、髪をつかんで引きずり落とし、尻をむき出しにして恥をかかせてやろう。」と言うのですが、昔話には、そのような記述はありません。また、グリム童話も残虐な場面などは、今はなくなっています。
言うまでもなく、その理由は、子どもに読ませる、あるいは読み聞かせるのにふさわしくないと判断されたことによるものですが、時代によって、それらの指標が変わります。その時代その時代で、児童文学が求めているものが分かるのも、児童文学の面白さと言えます。