エアインディアで十数時間のフライトの後、僕は深夜のボンベイに到着した。入国手続きを終え、両替所に並んでいると、25、6歳と思しき日本人の女性二人組に声をかけられた。
二人はヨーロッパを数週間旅した後、ちょうどボンベイに到着したとのこと。洗練されたヨーロッパに比べ、無法地帯のような深夜のインドに降り立って不安もあった
のだろう、今夜の宿はどうするかと聞かれた。僕も初めての海外でもあり、どうやって宿を探すか?彼女たち以上に不安だったので、その日は3人で宿を探すことになった。
後にインドに慣れるにつれ、分かってくるのだが、駅を降りると大抵バックパッカー狙いのホテルの客引きが待ち構えている。わらわらと客引きが集まって来て荷物を奪い合う。
彼らと値段交渉をし、とりあえず部屋を見せてもらい、”なんとか許せる程度の汚さ”であれば交渉は成立する。それが”度を越した汚さ”の場合、別のホテルとの交渉となる。
ホテル側の客引きがいない場合でも問題はない。リクシャー(タイなどで良く見かける原付タクシー)がわらわら集まって来て、客の奪い合いになる。リクシャーの運ちゃんは
大抵ホテル側とグルになっており、こちらが口コミ等で探したホテルには素直に連れて行かない。”そのホテルはダメだ。もっと安くて、綺麗で、安全なホテルがある”などど
言い張り、グルになったホテルに強引に連れて行こうとする。ホテルを見せてもらうと、大抵の場合、クソ汚くて、ハシシ売りやら闇の両替商がたむろしているような場所なのだ。
例によって幾つかのホテルを見て回り、”なんとか許せる程度の汚さ”の部屋であれば、”もういいや”とそこに決めてしまうのである。
万事この調子で、朝から値段交渉ばかりするのでクタクタに疲れるのである。
初日は深夜ということもあり、多少高かったが(といっても一泊1500円くらいだった)タクシーの運ちゃんの”提携先”の宿に落ち着くことになった。
僕は当初、ボンベイから北へ向かい、チベット方面まで足を延ばそうか?と漠然と思っていた。日本人の二人組の女性は、タージマハルのあるアグラやタントラの寺院で
有名なカジュラホーに向かう予定だった。英語に関しては彼女たちの方が堪能だし、旅慣れてもいたので、僕は予定を変え、しばらく彼女たちに同行してもよいか?
ともちかけたところ、彼女たちも”日本人女性は全員フリーセックス!”と思っているインド人男性がうじゃうじゃいる中で、連れの男性がいるのは心強いとのことで、
その後数週間、3人で行動することになった。。。