今日は、私の仕事である特許・意匠図面についてお話ししてみようと思います。
特許図面とはメーカーさんや個人の発明家が新規の発明をした際、その発明を権利化するために、
その発明がどういったものかを詳細に記した“明細書”と一緒に特許庁に提出する図面です。
意匠図面の場合はデザインを権利化する際に願書と共に特許庁に提出する図面ということになります。
大雑把なイメージですと家電製品等の取扱い説明書に少し雰囲気が似ています。プラモデルの組立説明図にも通じるものがあります。
私自身、この業界に入るまでは、特許図面や意匠図面といった分野があるとは知りませんでしたし、未だにニッチな業界だと思います。
最近は美大で意匠に関して多少教えている所もあるようですが、本格的に図面の描き方を教えている機関はありません。
たまーに数時間のセミナー的な講座は見かけますが、ほんの“さわり”程度かと思います。
私は、この業界に入って24年ですが独立してフリーで食っていけるようになったのは7、8年前からですので、特許・意匠図面がものになるまで16、7年かかっています。
実際、図面を描き始めて7年目に一度独立しましたが、約2年半で挫折しています。
(その時の話はまたここで書こうと思ってます)
本格的に特許図面を教える機関が無く、一人前になるまで時間がかかるため、中々図面業界を目指す人がいないんですよね。
バブル前後はまあどの業界も同じでしょうが図面屋も相当儲かったらしいので、人材には事欠かなかったようですが。
我々図面屋は特許事務所の弁理士の先生方から依頼を受け、作成することがほとんどです。
20年以上前は弁理士が図面の下図を描いてくださり、図面屋はトレッシングペーパーにインクをつかってトレース(清書ですね)する仕事ばかりでしたが、
今は“トレーサー”では食っていけません。
CADやイラストレータを使って緻密に作図することがが求められるようになっています。
当然、製図の基礎やテクニカルイラストレーション(立体製図)の知識も必須になってきます。
また、特許法や意匠法といった法律の知識もある程度は必要ですので、トレーサーで食っていけた時代よりハードルは高いかもしれません。
そんなこんなで、特許・意匠図面士は減りつつあると思います。
特許や意匠の出願も減りつつあるので、縮小業界と言われてますが、図面屋は絶対必要ですので、10年間技術を磨けば、
ライバルが少ない分案外”ブルーオーシャン”かもしれません。
我こそは!という人がもっと出てくればいいんですけどね。