一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • FIREを目指して(総論)
皆さんはFIREをご存知でしょうか。
FIREとは、「Financial Independence(経済的自立)」と「Retire Early(早期リタイア)」の頭文字を組み合わせた造語です。FIREが目指す「経済的自立」は、一生暮らすのに困らないような大金持ちになることではなく、資産運用することで得られる収入で生活費を賄うことです。今後の労働力不足、年金問題等を背景に、60歳、70歳と、長く働かなければならない時代がみえています。もちろん、働きたい方が自発的に働き続けることができるというのは素晴らしいことだと思います。しかし、一方で望まないのに働かなければならないというのは非常に辛いことだと思います。そうした中で経済的自立を獲得し、より早くリタイアするFIREの考え方が話題となっています。関連する雑誌、書籍も非常に多く出版されています。今回は、FIREが目指す経済的自立や、 FIREを実現するための資産形成の考え方について紹介します。
これまでの価値観では、定年までがむしゃらに働き、高い家や車を購入し、ブランド物の高級な服に身を纏い、海外旅行に出掛けていくといったライフスタイルが素晴らしいものとされてきました。しかしFIREは、それとは一線を画しています。
FIREの手順は、以下の通りです。
まずは無駄遣いを抑える支出の最適化、さらに収入の最大化。そしてある程度貯蓄ができたらそれをどんどん投資に回します。年間の生活費を25倍した額がFIREの達成目標。これは年間支出が投資資産の4%であれば、運用利回りで賄えるという研究結果に基づきます。
この4%ルールから、欧米では年間支出を400万円と想定すると、目標資産額は1億円とされます。ただ、日本の場合は少々事情が異なります。欧米と比較し、最近の日本は物価や賃金水準が低いため、1億円の半分程度、5,000万円ほどあれば十分FIREは可能となっています。低リスクでも年間で3〜4%程度の運用利回りを得ることは十分可能であり、5,000万円ほど資産があれば年間200万円前後の不労所得を手に入れることができます。勿論、200万円で全く働かずに生活するのは少々厳しいですが、俺だけの不労所得があれば様々な価値観は変わってきます。嫌な仕事はやめ、好きな仕事だけを選べることができますし、それほどあくせくせずに済みます。これだけでも人生の満足感は大きく向上するのではないでしょうか。
<ワンポイント:経済的自立と早期リタイア、本当に必要なの?日本人に合うの?>
FIREってのは分かったけど、仕事って楽しいから早期リタイアなんて嫌だよ。
こういったライフスタイルってそもそも日本人には向かないんじゃないの?
ここまでFIREについて説明してきましたが、こういった声が聞こえてきそうですね。確かに私も早期完全リタイアには否定的です。FIREのうち、重要なのはFI(経済的自立)だと思います。経済的自立は、食べていくための「ライスワーク」から解放されるという点で非常に重要だと考えます。ただ、リタイア後は消費行動でしか社会との接点がなくなり、達成感や自己承認欲求が満たせなくなり、日常生活に不満を感じる方も少なくありません。それを回避するためにも自分の夢や目標のための「ライフワーク」を追求して、自分の望む仕事を続けるべきだと思います。決して、不労所得だけで満足して、グータラな毎日を過ごすことが最終目標というわけではありません。
こうしたFIREを実現するためには、(1)支出を抑える、(2)収入を増やす、(3)資産を運用するという3つの構成要素に分類することができます。それでは、それぞれどのようなことに留意して取り組んでいくべきでしょうか。支出を抑える、収入を増やす、資産を運用するといっても、言うは易く行うは難し。ここについては今後、順次レポートしたいと思います。楽しみにしていてください。
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東葛 コンサルティング

投資銀行にてM&Aアドバイザリー業務、PE(プライベート・エクイティ)業務に従事していました。 経済、投資等についてのアドバイスを行っています。

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