現代の福祉国家では国民の生存権が保障されており、政府が国民の最低限の生活(ナショナル=ミニマム)を保障するしくみがつくられている。そのしくみが社会保障である。
社会保障は、イギリスのエリザベス救貧法(イギリス・1601)から始まり、世界初の公的扶助といわれている。しかしこの時代は、絶対王政の全盛期であり、近代的な公的扶助とはいえなかった。
近代的な社会保障は、1880年代のドイツで、ビスマルクの「あめとむち」の政策により、社会主義者鎮圧法(1878)が制定される一方で、疾病保険法(1883)、労働者災害保険法(1884)、廃疾・養老保険法(1889)といった世界初の社会保険制度が整備された。