復習を兼ねてQCDについてまとめました。
QCDは、システム開発に限らず、物作りをする際には意識しておいたほうがよい単語なので。
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QCDとは?
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Q(Quality) :品質
C(Cost) :費用
D(Delivery) :納期
QCDとは、Quality(品質)、Cost(費用)、Delivery(納期)です。「物作りに重要な3項目」です。
上から順に「重要度が高いもの」を挙げています。また、「3項目は相互に関係し合うもの」です。
例えば、品質を追求すればそれだけ費用がかさみやすく、費用を抑えれば品質がダウンしやすくなります。
できるだけスピーディーな納期で物を仕上げれば、同じく品質が低下する可能性が高くなります。
QCDを構成する3つの項目をバランス良く改善することで、顧客満足度の高い製品開発に繋げやすくなります。
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QCDの持つ意味合い
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QCDには、品質を最も重要視する「品質ファースト」の考え方がベースにあります。
この品質ファーストを大前提にした上で、費用や納期をどのように設定すべきなのか考える必要があります。
●品質に関する考え方
QCDで最も重視すべきは品質になります。
なぜなら、クライアントの求める品質を実現できなければクライアントが離れやすくなる上、同業他社との
競争でも勝ち抜きにくくなります。さらに品質が粗悪な製品は、顧客に悪影響が及んでしまうケースもあり、
信用問題に発展することもあります。
以上の点から、物作りをビジネスとして成り立たせるためには、品質の追求は必須だと考えます。
●費用の抑え方に関する考え方
システム開発をはじめとした物作りを検討するにあたって、コスト(費用)はできるだけ抑えたいものです。
このコストの削減に大切なのが、「コストが上昇する原因を把握する」という点になります。
例えば、システム開発の場合、コスト上昇の原因となりやすいのが、開発中に発生する修正依頼や追加依頼です。
特にクライアントへのヒアリングが不十分であったり、意図をしっかり汲み取っていなかったりすると、
後々の追加作業や修正作業が発生します。作業量が増えれば、それだけコストが上昇しやすくなるのは当然です。
その結果、設定していたプロジェクトの予算も圧迫されやすくなります。
先の項で挙げた通り、品質の追求は大前提として、コスト上昇を抑えるためにもクライアントの要望を
しっかり汲み取ることが大切なのです。
●納期の落としどころに対する考え方
物作りにおける納期の設定は、QCDを意識する上で頭を抱える方も少なくありません。
とくにシステム開発の場面では、「エンジニアを増やす=納期が短くなる」とは限りません。
これは、エンジニアのスキルが生産性に影響を与えるためです。場合によっては、スキルが未熟な
エンジニアのフォローにコストがかかり、納期が延びるというケースもありえます。
「増員しない方が早い納期で安く開発できた」となれば、エンジニアの増員がプロジェクトに打撃を
与えたことになります。納期短縮を目的にエンジニアを増員するのであれば、スキルレベルのばらつきを
しっかり考慮することが大切になります。
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QCDを達成するためのポイント
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QCDを達成するためには、各作業や工程に合わせた管理が大切になります。
以下では、項目別に管理のポイントを5つご紹介します。
1.成果物スコープ管理
2.プロジェクトスコープ管理
3.チーム管理
4.コミュニケーション管理
5.リスク管理
1.成果物スコープ管理
スコープ管理とは、端的に言えば「目標や作業範囲、成果物を定義づけた上で管理する」という意味の言葉です。
成果物スコープ管理は、「このプロジェクトでは何を作るのか?」という点を明確にして管理します。
各フェーズにおける「成果物」を定義づけ、管理するのが特徴です。例えば基本設計であれば、設計書や仕様書が
成果物として考えられます。
—– フェーズごとの成果物の達成度合いによって、プロジェクト全体の達成度合いも図りやすいのが特徴です。
2.プロジェクトスコープ管理
プロジェクトスコープ管理は「作業スコープ」とも呼ばれるフェーズで、プロジェクトでやるべきこと(=作業範囲)を
明確にして作業を進めていきます。システム開発においては「要件定義」や「基本設計」などの大タスクが
最初に挙げられるでしょう。これらの大タスクを構成する基本機能の設計やデータベース構成などの詳細な作業内容を
洗い出し、管理します。
3.チーム管理
プロジェクト達成のためにチームを組織し、管理するフェーズです。「要員管理」とも呼ばれます。
パフォーマンス向上のため、各メンバーのスキルや適性を見極める力が求められるのがポイントです。
加えて、生産性確保のためにタスクを適切に割り振る力も求められるでしょう。
チーム管理が行き届いていないと、メンバーのモチベーションダウンやすれ違いが生じてしまいます。
4.コミュニケーション管理
コミュニケーション管理のフェーズでは、プロジェクトに関係する情報を正確に把握し、関係者へ伝達します。
関係者同士の利害関係を考えながら、その人のポジションに合った情報を共有することが大切です。
5.リスク管理
リスク管理は、リスクコントロールを行なうフェーズです。プロジェクト進行中に想定されるリスクを洗い出し、
適切に管理するスキルが求められます。また、想定外のリスクに対して常にアンテナを立てることも大切です。
想定外のリスクが発生した際はどう対処するのか、想定されるダメージはどの程度かという点を考え、
適切なリスク管理を行なう必要があります。
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QCDを効率的に進めるためのツール
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QCDを意識して効率的にプロジェクトを進めるためには、ツールの導入がよいと考えます。
「ガントチャート」や「フォーラム機能」は、QCDに合うと考えます。
●ガントチャート
ガントチャートとは、プロジェクトの作業内容やタスク同士の関係性を可視化できる表を指します。
わかりにくいプロジェクト全体の流れが把握でき、タスクの進捗状況も一目で確認できるのが特徴です。
タスク遅延の原因がすぐ把握できるため、要員管理の見直しに役立ちます。加えて、タスクの進捗状況や
納期日もまとめて確認できるため納期管理の場面でも重宝するでしょう。
●フォーラム機能
フォーラム機能とは、掲示板機能を指します。
タスクに関わるメンバー、プロジェクト全体に関わるメンバー同士で意見交換ができるのが特徴です。
タスクへ実際に関わっているメンバーからリアルタイムで意見が聞けるため、メンバーの意見を適宜取り入れ
ながら柔軟にプロジェクトを進行できるのも魅力だといえます。
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QCDの注意点とは
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最後に、QCDを実践する際に、注意しておきたいポイントを紹介しましょう。
●最終目標の設定を行う
QCDは、目標や目的が曖昧だと真価が発揮されません。「何をどんな目的で導入するのか」という点を
明確にしてはじめてQCDの手法が活かされます。「プロジェクトの輪郭が決まってないけど、とりあえずQCDを
意識して進めよう」という姿勢では、品質追求や納期管理を適切に行なうのは難しいでしょう。
こうしたトラブルを防ぐためにも、プロジェクトの目的や目標、最終的なゴールを明確に設定する必要があります。
●頭で理解しただけでは不十分
頭でQCDを理解しただけでは、システム開発やチーム管理には活かせません。
実際のプロジェクトで活かしてはじめて、QCDの大切さは血肉になるものです。プロジェクト内容によって、
QCDの適切な取り入れ方は変動します。開発案件に適したQCDの取り入れ方がわかってからがゴールだと考え、
実践していくことが大切なのです。
QCDは品質追求や納期管理、タスク管理に活かせる手法です。QCDを上手く取り入れることができれば、
プロジェクトの進行管理がスムーズになります。
業界や企業によってはQCDの3点だけではなく、独自にTime(時間)やSafety(安全)、Environment(環境)などを
取り入れることがありますが、とにかく基本となる考え方は「品質・費用・納期」の3点です。
以上です。