一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • 日本株の中長期的な上昇トレンドに期待 〜日本株高騰の4つの要因〜

1)日本株の現状

日経平均株価は、2023616日の東京株式市場で、前日比22059銭高の3370608銭となりました。10週連続の上昇で、バブル後最高値を更新し、19903月以来、およそ33年ぶりの高値圏に達しました。この日に開かれた日銀の金融政策決定会合で、大規模な緩和策の維持を決めたことを好感し幅広い銘柄が買われました。足元で円安傾向になっていることから自動車や機械など輸出関連銘柄も伸びました。三井物産、三菱商事などが年初来高値を更新しました。

2)日本株高騰の4つの要因

このように日本株が好調な要因として、以下4つの要因が挙げられます。

①インバウンド需要の回復期待の高まり

特に中国を対象とした水際対策が45日から緩和されたため、さらなる訪日外国人の増加が期待されます。街中を見ても確実に外国人観光客は増加していることが実感できると思います。

②東京証券取引所(東証)が上場企業に対し、資本コストや株価を意識した経営などを要請。

東証は331日、上場企業に対し「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請し、企業改革を促しました。この背景には、プライム市場で約半数、スタンダード市場では約6割の上場会社が、自己資本利益率(ROE)が8%未満、株価純資産倍率(PBR1倍割れという状況があります。ROEとは、株主からの出資金を元手に、企業がどれだけの利益を上げたかを数値化したもので、「企業の稼ぐ力」を示す財務指標です。一般的には、10%を上回ると投資価値がある企業とされるため、8%未満では資本を効率的に活用しているとは言い難い状況です。またPBRとは、1株当たり純資産の何倍の値段が付けられているかを見る投資尺度です。PBR1倍が株価の底値の目安(株価と資産価値が同じ)とされるため、「1倍割れ」というのは、上場企業としては恥ずかしいことです。東証の要請により、日本企業が継続して資本コストを上回る資本収益性を達成し、持続的な成長を果たす取り組みが広がれば、日本企業の株の魅力が高まることになります。

③日銀正副総裁が金融緩和継続の姿勢を示し続けている。

このため円安が進み、日本株が割安になっています。

④アメリカの著名投資家ウォーレン・バフェット氏が日本株の追加投資を示唆。

米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が4月中旬来日、日本メディアの取材に応じ、5大商社株を中心に日本株の投資を推奨した。

  

3)今後の日本株の展望

東証が主導する企業改革は、今後日本株を中長期的な上昇トレンドに導くことになるのでしょうか。

この点、野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジストの石黒氏はご自身の投資レポートで以下のように述べています。

「日本株は近年、『2』と『10』の壁が立ちはだかってきました。『2』の壁は日本株が米国株の年間パフォーマンスを上回る連続記録がバブル崩壊以降、『2年』で止まるというジンクスです。『10』は日本株のROEが『10%』を越えられない状態が長期化していることを意味します。米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が『日本株への追加投資を検討したい』と表明するなど、日本株を見直す動きが一部で高まりつつあります。仮に2年連続で日本株が米国株をアウトパフォームすることになれば、21世紀以降では小泉政権下で構造改革期待が高まった200405年、安倍政権が打ち出したアベノミクスへの期待が高まった201213年以来のこととなります。」

では、日本株が「2」のジンクスを打ち破るにはどうしたらいいのでしょうか。日本株が「2」の壁を乗り越えるためには、やはり日本企業の収益力の向上が不可欠でしょう。日本株は先進国と比べROEが低く、こうした稼ぐ力の弱さが、日本株の評価が高まらない要因の1つと指摘されてきました。しかし、長年の日本企業の課題であったROEの改善を促すような取り組みが、東証手動で進み始めたことは明るい材料です。現在、日本企業の間で増配や自社株買いが行われ始めました。今後も、このような動きが続けば、ROEPBRの向上が進み、「2」のジンクスを打ち破ることも可能だと考えます。

このように投資家の間で日本企業の変化に対する期待が高まるなか、日本を代表する企業の一角で改革を断行し変化を遂げた企業があります。今回はNTT、日立製作所を取り上げますが、20133月期と20223月期とで比較すると、NTT6.5%から14.9%に、日立製作所も9.1%から14.8%にROEが改善されました。これは伝統的な日本の大企業でも、変化への強い意志を持てば変わることができることを示す事例といえます。企業価値を高める東証の要請もあり、今後日本企業の間で、増配や自社株買いの強化、設備投資などを通じ、ROEPBRの向上を図る動きが広がる可能性があります。日立製作所やNTTのように企業改革に本格的に取り組む動きが他の企業にも広がっていけば、今後も日本株が高騰を続けることもあり得ると考えます。

今後の日本企業の変革に期待しつつ、日本株に夢を託すのも悪くないと思います。

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東葛 コンサルティング

投資銀行にてM&Aアドバイザリー業務、PE(プライベート・エクイティ)業務に従事していました。 経済、投資等についてのアドバイスを行っています。

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