一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • 日本人なら米を食え②

ところがこの生産調整政策は、日本国民の米の消費低迷に対して、過剰生産を抑制するための政策という単純な背景ではなかったのです。

1990年代から、日本政府及び政権与党は工業製品の輸出が日本経済を経済大国に押し上げる原動力になっていた事実とこれからの経済発展を担保するため、欧米諸国との貿易摩擦を解消させる条件として農産物の輸入自由化を進めてきました。

中でもとりわけ、米の輸入自由化については、近代的なグローバル資本の考え方に染まる中においても、戦後の食糧難を経験してきた世代が政治の舵を握っていたこともあり、アメリカなどの圧力に対し頑強に抵抗していましたが、そもそも終戦直後の食糧難の時代には、GHQ主導によりアメリカで生産された小麦の新たな市場として日本の食糧供給を担ってきた経緯があり、それまで日本人が食べてきた日本食文化は、若い世代を中心として徐々に洋食化が進み、1970年代には小麦の消費が飛躍的に伸びる一方で、米の消費に陰りが見え始めた流れをうけ、前述した80~90年代初頭の日米貿易摩擦と連動する形で、米の輸入自由化は避けられない状況となりました。

現在、日本の農業の現状を見て分かるとおり、農業は自ら販売する力の弱い経営体の生産者は淘汰され、資本力、経営力のある生産者が日本の農業を担っている状況があり、生産者人口は減少の一途となっております。

強い物だけが生き残るのは、経済活動の原理原則ではありますが、人類生存の最も重要な食を担う産業が利権優先に支配されて良いものか、甚だ疑問に感じます。

日本人は、古代より米を食してきました。食の文化というものは、その土地になじんだ生物の循環を取り入れた文化であり、日本人は日本の気候風土に合わせた”日本食”文化を醸成させてきたのです。

日本人がなぜ発酵食品を多く取り入れ、肉よりも魚をよく食べ、主食を米としてきたのか。

そしてなぜ、日本人は体格は小柄でありながらも心身壮健で頭脳明晰、強い精神力を持ち合わせてきたのか。

人間の身体は、食べている食物でできあがっています。身体に合わないものを食べ続けていれば当然病気になったり、心身を健全に保つことはできません。日本人には日本人の身体構造に合った食文化が最も適した食事であると思います。その中心として米は欠かすことができないものであると思うのです。日本人は、米を食すことで体内に“氣”を入れることができます。

穀類の中でも非常に優秀な米を栽培できるという恵まれた気候環境にいるのですから、日本人はその環境にいることに感謝し、本来の食文化をもう一度見直す時期に来ていると思います。

日本人の食と文化に誇りを持って、私も米作りの研究を重ねていきたいと思います。

 

 

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栗原 正德

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