一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

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【国家公務員法改正】

それまでどの政権でも手をつけられなかったのが国家公務員法の改正である。反対する議員を敵対勢力とレッテルを貼って、強力に郵政民営化を進めた小泉総理ですら手を出せなかったのだ。

これは、要は官僚の天下りの斡旋を禁止する法改正である。官僚の天下りを肯定的に見る国民はいない。しかし、マスコミは一切報じないため、テレビや新聞しか見ない国民は、安倍総理がなぜこれをやろうとしているのかを知らずにいたのだ。

安倍総理は、政治評論家の第一人者、三宅久之氏にこの法改正を実現させる意思を伝えると、三宅氏に「それは無理だ」と言われる。それくらい、官僚を敵に回すことはあまりに難しいことなのだ。

すると安倍総理は、「三宅さん、公務員試験を受けて入省してくる時に、数十年後の天下り先はどこで、いくら年収が見込めて、なんて考えでやってくる人間は、国家にとって必要ないと思う」と答えたと言う。確固たる信念でやろうとしていたのだ。

そして、国家公務員法改正法を成立させる。

ここから、官僚の政権倒しが始まる。

官僚は、様々な情報を反安倍マスコミにリークする。朝日を筆頭とするテレビ全局、産経以外の全紙である。

・柳沢伯夫厚労大臣の、「女性は子供を産む機械」発言
・久間章生防衛大臣の、「原爆投下はしょうがない」発言
・松岡利勝農水大臣の、事務所費問題と「ナントカ還元水」発言
・絆創膏を顔にいくつも貼って登場した赤城徳彦農水大臣の、事務所費問題

次から次へと閣僚の不祥事が報道される。何度も何度も、それは執拗に、連日続いた。それはまさに暴風のような安倍批判報道であった。

そして、消えた年金問題である。これは積年の杜撰な管理体制に問題があったわけで、何も安倍政権下の不祥事ではないが、これも政権倒しのかっこうのネタにされ、安倍政権は大きな痛手を追うことになった。

この国家公務員法改正法は、第一次安倍政権が終わり、続く福田内閣、また民主党政権で活用されることはなく、形骸化していく。

しかし、2013年以降に強化され、実効性を持つようになる。第二次安倍政権においてである。

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