外国人の方が日本で働くための就労ビザ(在留資格)は、就労先と特定の仕事に紐づいて許可されます。例えばA社で翻訳業を行う在留外国人のZさんの場合、A社での翻訳業を前提として許可されたビザなので、違う組織であるB社での就職を前提に申請していたらZさんのビザは許可されなかった・・・という可能性があります。
だったら外国人は、現在取得しているビザの在留期間中に転職することができないのか?というと、そんなことはありません。同じ仕事内容であったり、現在取得している就労ビザの要件内の仕事であれば、転職自体はすることはできます。もちろん転職をした場合、出入国在留管理局(入管)への届出は必要ですが、届出の場合、入管では許可時や更新時のような細かい審査を行うわけではありません。つまり外国人が在留期間内に転職をした場合、その転職先や職務内容が現在の就労ビザの要件に沿っているのかが不明確なまま次の更新を迎えることになります。場合によっては、転職先が要件をみたしていないため更新が認められずに不許可になってしまうこともあります。転職から何年も経っていた外国人だったら、「え?今更?」という気持ちになることでしょう。
就労資格証明書とは、このような事態を未然に防ぐために取得する書類になります。簡単に言えば、事前に入管に転職先組織とその仕事内容を確認してもらい「この会社、この仕事内容は現在のビザの要件に沿ってますよ」という証明書を発行してもらうことで、次回更新への安全性を担保することができます。
もちろん就労資格証明書を取得するためには、ある程度の手間はかかりますが、就労資格証明書を得ずに転職後の更新手続きを行う場合は、通常の更新申請と異なり、ビザ変更申請や新規申請と同等の手間となるため、事前に取得しておけば安全かつスムーズに更新手続きを行える就労資格証明書の存在は非常に有意義なものとなります。