こんにちは。
日々現場で体と向き合う立場として、今回は「疲労とは何か?」という視点から、体と心のメッセージを見直してみたいと思います。
ご紹介するのは、本間真二郎さんの著書『疲労とはなにか~すべてはウイルスが知っていた~』の要約です。一見「ウイルス」と「疲労」は無関係に思えますが、読み進めるうちに、疲れに対する見方が180度変わっていきます。
■ 疲労は「敵」ではなく「味方」だった
多くの人が「疲労=悪」と捉え、早く回復したい、なくしたいと考えがちです。
しかし本書では、疲労とは「体を守るためのアラート」であり、「無理をするな」という自然からのメッセージだと語られています。
つまり疲れたとき、私たちの体は「休むべき時を知らせてくれている」のであって、抑え込むものではなく、受け止めるべきサインなのです。
■ 疲労の本質は「炎症」だった
著者によれば、疲労の正体は「体の中の慢性炎症」。
たとえば、寝ても疲れがとれない・いつもどこか不調がある、といった症状は、体内に“静かな火種”がくすぶっているサインです。
驚くことに、こうした炎症の原因には、現代の「過剰な清潔・除菌生活」や「過度なストレス」「不自然な食事」が深く関係しているといいます。
私自身、アスリートのケアをする中で、生活習慣の乱れが回復を遅らせている場面を何度も見てきました。
だからこそ、「炎症=疲労」の視点は、セルフケアにおいて非常に重要です。
■ ウイルスは「悪者」ではない?
本書の核心的なメッセージは、「ウイルス=敵」という思い込みを見直すことです。
実は、人間の遺伝子の約半分はウイルス由来。免疫や代謝の仕組みもウイルスとの共存によって発達してきたものなのだそうです。
つまり、ウイルスは私たちの“進化の仲間”。だからこそ、無理に排除するのではなく、「自然と共に生きる」ことが、回復力を引き出す鍵となるのです。
■ 「休む」ではなく、「自然に委ねる」
疲れたら寝る。栄養をとる。温泉に行く。
もちろん大切ですが、本書で強調されていたのは「自然に触れる」「人とつながる」「心地よい生活リズムを取り戻す」といった、根本的な環境の見直しです。
私も犬との散歩や、緑の中で過ごす時間の中に、無意識のうちに「自然とつながる癒し」を求めていたのだと気づかされました。
■ まとめ:疲れは“生きる力”の一部だった
「疲れない体をつくる」のではなく、「疲れと共に生きる」ことが、長く働き、人生を楽しむうえでの本質ではないでしょうか。
疲労=炎症=生きるための調整機能。
この視点を持つだけでも、自分の体に対する信頼が生まれ、回復力や免疫力の底上げにつながるように感じました。
忙しさに追われる毎日でも、自分の「疲労の声」に耳を傾けてみてください。
それが、体を守り、仕事を長く続ける最大の知恵になるかもしれません。
(参考書籍:『疲労とはなにか~すべてはウイルスが知っていた~』本間真二郎 著)