コロナが流行し一般の方も酸素飽和度という名前を聞く機会も増えたように思います。
正式名称を経皮的動脈血酸素飽和度(以下SPO2)といい動脈を流れる血液の赤血球に含まれるヘモグロビンすべてが酸素と結合しているかを表しています。
ヘモグロビンは肺で酸素を受け取り全身の組織(細胞)に届ける役割をしています。人体における細胞一つ一つに酸素を届け、エネルギー生産の重要なプロセスである細胞呼吸を支えています。
ヘモグロビンは酸素が多いところ(肺など)では酸素と結合しやすく、酸素が少ないところでは酸素を離しやすいという特性があります。また二酸化炭素の少ないところでは酸素と結合しやすく、二酸化炭素が多いところでは酸素を離しやすいという特性も併せ持っています。(酸素乖離曲線)
SPO2は酸素と結合しているヘモグロビンの%を表しているのでその数値が低いと各組織への酸素運搬が減っているという事になります。
そして%が極端に低かったり長時間に及んだりすると、臓器障害が引き起こされます。(細胞が酸欠状態になり働けなくなります)
%の目安は95%以下で呼吸不全の疑いがあり、90%を下回ると酸素療法の適応となります。
ですが酸素療法を実際行う場合注意が必要です。高濃度酸素を一気に送り込むと肺の中の酸素濃度が上がりますが、呼吸のリズムを決める呼吸中枢は、通常は血液の中の二酸化炭素が高くなると速くなり、低くなると遅くなるように呼吸をコントロールします。酸素濃度が急に上がると呼吸中枢が酸素は十分にあると勘違いし呼吸数を減らしてしまいます。呼吸数が減ると各組織の二酸化炭素濃度が急に上がり。頭痛や強い眠気などの症状、場合によっては意識障害が現れます。これをCO2ナルコーシスといいます。酸素療法をおこなう際は、その事も念頭に状態観察が必要となります。