私たちの身体の中には、普段は意識していないけれど、確かに“感じている”場所がある。
たとえば、胸膜や腹膜。
名前は聞いたことがあっても、どこにあって、どんな働きをしているのか、正確には知らなかった。
最近、身体の声に耳をすますようになってから、こうした“膜”の存在に意識が向くようになった。
胸膜は肺の表面と胸壁の間にある薄い膜。
臓側胸膜と壁側胸膜に分かれ、その間にある胸膜腔には滑らかな潤滑液が満たされていて、呼吸をスムーズにしてくれている。
それを知ったとき、「あぁ、私はもっと安心して、ゆっくり呼吸していいんだな」と感じた。
無意識に力が入っていた胸の奥が、ふっと緩んだ瞬間だった。
お腹の内側にある腹膜。臓器を包み込み、守り、支え、潤してくれる。
最近、お腹が張ったり冷えたりすることが増えていて、「もしかして感情が滞っているのかも」と気づいた。
腹膜がそっと教えてくれる。「その感情、ぎゅっと抱きしめて、やわらかく流してあげよう」って。
身体はいつも、静かに語りかけてくれている。
目に見えないけれど、確かに存在して、私たちを守ってくれている膜たち。
解剖図だけでは見えない、感覚としての“ありがとう”を、今日も胸とお腹に伝えたい。