マラソン・フュージョン社が開発した技術で、核融合炉で金を生産できるというニュースが入ってきました。
お、今度はホントか?
周期表、昔覚えましたよね。H He Li Be …
理論的には、陽子と電子を1個、あるいは複数個ぶち込んだり、抜いたりすれば、元素は本当に周期表の左右を行き来します。時と場合によっては、中性子を添えることも。
そして、原子炉や加速器の中では、実際に原子が変化することが確認されています。核分裂や核融合といった現象のほか、「核変換(トランスミューテーション)」と呼ばれる比較的穏やかな変化もあります。
ただし、そうしてできる生成物の多くは、生物にとって有害なのが悩ましいところですが…。
さて、この核変換による金の生成については、実は過去にもいくつかの実績があります。ただし、生成量は極めて微量。一定の品質と量で金をつくるのは、非常に困難でした(今もです)。
1941年:ハーバード大学で水銀から金を作ることに成功。ただし、金の安定同位体(Au-197)は得られず、最長でも78時間で崩壊。
1980年:ローレンス・バークレー研究所でビスマスから金を生成。ただし得られた金は1000個程度(1.7 × 10⁻²¹ mol)。
2002年~2025年:CERNが鉛から金を生成。その後の改良で2600億個(4.3 × 10⁻¹³ mol)まで増産に成功。ただし現状では金の市場価格の1兆倍以上のコストがかかる模様。
継続は力なりとはいえ、金の量産には程遠いですね。
そして、今回のニュースです。
フィナンシャル・タイムズ曰く:「紙の上では素晴らしく、これまで話をした誰もが興奮している」そうです。
そりゃそうだ。金だもん。
要するに、「Hg-196(あるいはその前駆物質)」を核融合炉の中に置いておいて、
中性子を吸収してHg-197になり、
それがベータ崩壊してAu-197になる…
……そんな核融合炉+核変換システムが、安価に安定して作れたら、
そりゃもう大優勝ですよね。
……うむ。
まずは核融合そのものが安定して動かないと。
私が生きてるうちに見られるでしょうか……。