一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • 腰椎すべり症

腰椎すべり症とは、腰椎が前方へ滑り出してしまい、様々な症状を引き起こす病気です。

腰椎すべり症は、大きく背骨や椎間板などの変性によって起こる「変性すべり症」と、腰椎分離症に続発する「分離すべり症」とに分けられます。

原因は違いますが、それぞれ出現する症状はほとんど同じです。4番目の腰椎に好発し、診断にはレントゲンやMRI、CT検査、場合により造影剤などを用いた検査を行います。
背骨の本体である「椎体」と後ろ側で関節を構成している「椎弓」とが分離してしまった状態が腰椎分離症です。この状態で放置されてしまうと、分離した部分の腰椎の安定性が失われ、上下の骨にずれが生じてしまいます。

このように腰椎分離症があり、その結果腰椎すべり症に移行してしまった状態を「腰椎分離すべり症」と言います。

変性すべり症は、明らかな原因は不明ですが、多くは加齢とともに椎間板や靭帯、関節など腰椎を固定している組織が変性を起こし、それに伴って腰椎の安定性が失われ、腰椎にずれが出現します。このように、加齢や長期間にわたる負荷などによって徐々に腰椎が変性を起こし、その結果発症したすべり症を「腰椎変性すべり症」と呼びます。

そのため、分離すべり症に比べ高齢で発症し、骨などの組織が変性を起こしやすい女性に多いようです。

すべりの程度にもよりますが、症状としては、まず腰痛と坐骨神経痛があげられます。すべりが強度になってくると、腰椎の後方を走る脊髄神経が圧迫され、下半身に痛みやしびれが出現します。

また、長い距離を歩くと痛みやしびれが出現し、かがむことで楽になる「間欠性跛行」と言う症状も多く見られます。

分離すべり症も変性すべり症も結果的には脊髄神経の圧迫が症状の主な原因となるため、出現する症状に大きな差はありません。

すべり症の治療ではまず保存療法が選択されます。
コルセットなどにより、腰への負担を軽減し、消炎鎮痛剤や、ブロック注射などで症状の軽減を図ります。また、リハビリとしては、ストレッチや腹筋を中心とした筋力訓練などを行うのが一般的です。

症状が落ち着いてくるようなら、リハビリなどを継続しつつ様子を見ますが、痛みやしびれが強い場合や麻痺が出現している場合などは手術療法が検討されます。

生活に大きな支障がでたり、症状が強い場合など、重症例には手術療法が検討されます。

代表的な手術は固定術と呼ばれ、骨を削るなどして神経の通り道を広げ、すべりを起こしている背骨部分を、自らの骨や金属などを用いて固定する手術です。
術後は固定した部分が安定するまでしばらく時間がかかり、ある程度の安静やコルセットなどによる保護が必要です。

腰椎すべり症の患者さんは、腰に過度な負担がかかる動作や運動を避ける必要があります。特に、腰を反らす動作はすべりを助長してしまうため要注意です。

特に、体を大きく反らせるヨガのポーズや、無理に腰を伸ばすストレッチは症状を悪化させることがあります。ジャンプや激しい捻り動作を伴うスポーツも、腰に強い負担をかけます。

また、長時間の立ち仕事やデスクワークなどは症状を訴える患者様が多く、合間に短い休憩を入れたり、姿勢を変えたりする工夫をすると良いでしょう。日常の姿勢や動作を意識し、腰に過度なストレスをかけないことが、症状の進行を防ぐために大切です。

腰椎すべり症の症状を和らげるためには、特に、太ももの裏の筋肉(ハムストリングス)や、お尻の筋肉(臀筋)をほぐすストレッチが有効です。腰自体のストレッチ、特に前述した腰を反らすようなストレッチは、すべりを助長する可能性もありますので慎重に行う必要があります。

例えば、仰向けに寝て片膝を胸に引き寄せるようなストレッチは、腰に負担をかけずに臀部や太ももの筋肉を伸ばすことができます。

ストレッチを行う際には無理をせず、痛みを感じない範囲でゆっくりと行うことが重要です。腰への負担を最小限に抑えながら行うようにしましょう。

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高柳 克功

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