中華製タブレットは、価格と性能のバランスが独特だ。2万円前後でそこそこの処理能力を持ち、8〜9インチといった“日本メーカーが作らなくなったサイズ”をきちんと揃えてくる。私自身、フリーランスになる前にALLDOCUBEのiPlay 50 mini Proを購入し、軽さと扱いやすさに満足していた。iPad miniは魅力的だが、当時は価格がネックで手が出しづらかったことを考えると、中華タブレットは現実的な選択肢だった。
しかし、今回のマルウェア混入騒動は、その“現実的な選択肢”を大きく揺るがす内容だった。MediaTekのHelio G99を搭載した複数メーカーのタブレットに、Keenaduと呼ばれるマルウェアが正規署名付きでファームウェアに混入していたという報道である。ユーザー側で削除できる類のものではなく、メーカーが修正版ファームウェアを提供するまで対処不能という点が重い。
影響範囲も広い。Teclast、ALLDOCUBE、Headwolf、Doogeeといった、Amazonでも普通に見かける中堅メーカーが軒並み対象となっている(なお、現在も対象は増え続けているようだ)。今回は多様なメーカーにも被害が及んでおり、開発環境や配信サーバレベルでの汚染が疑われている。ALLDOCUBEの場合は3月5日までに修正版ファームウェアを提供すると発表したが、他メーカーも迅速な対応が求められる状況だ。ただ、無名メーカーに至ってはサポートが期待できず、廃棄を検討せざるを得ないケースも出てくるだろう。
現時点でKeenaduは深刻な被害を引き起こすタイプではないとされているものの、システム権限で動作する以上、潜在的な危険性は高い。私も監視カメラのモニター用途で使っていたタブレットを、しばらく電源オフにする判断をした。
中華製品は、セキュリティ面での懸念が常に付きまとう。それでもなお魅力があるのは、製品の企画力や“痒いところに手が届く”仕様に独自性があるからだ。日本メーカーが作らない領域を平然と攻め、ミニPCのようなジャンルではむしろ市場を牽引している。だからこそ、今回のように基盤部分が汚染される事態は惜しい。ユーザーが工夫して回避できるレベルを超えてしまうと、製品そのものへの信頼が揺らいでしまう。(元々信頼があるかといわれると答えづらいが)
中華タブレットは、価格と利便性の両面で確かに価値がある。iPlay 50 mini Proのサイズ感は、今でも理想的だと感じている。しかし、最低限のセキュリティが担保されなければ、その価値は一気に失われる。面白い製品を作る力があるだけに、基盤部分の安全性を確保してほしいという思いが強くなる。