一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • 【第1回】「いらっしゃいませ」が消えた売り場

百貨店内のジューススタンドで、
「売り場の前に立っていたのに、声をかけられなかった」というクレームが入りました。

教育アドバイザーとして現場に入っている私は、気になって同じ状況を作ってみました。
売り場の前に立ち、待ちました。——それでも、1分以上声はかかりませんでした。

あとでスタッフに確認すると、返ってきたのは意外な言葉でした。

「いるのはわかっていました」
「私的に『いらっしゃいませ』と言われるのが嫌いなんです」

では、お客様への声かけはどのようにしているのかと尋ねると、

「今日はこちらのいちごジュースがおすすめです」

とのことでした。

おすすめは言える。しかし、挨拶はしない。
ここに、売り場の“ズレ”が見えました。

これは接客スキルの問題なのでしょうか。

「いらっしゃいませ」は好みの押しつけではなく、挨拶です。
百貨店という場所で、ジューススタンドの前に足を止める方は、少なくとも何らかの関心を持ってくださっています。
その方に声がない状態は、果たして丁寧なのでしょうか。それとも失礼なのでしょうか。

そして、もう一つ。

この状態のまま現場が回っていること自体が、何を意味しているのでしょうか。

本人の価値観の問題でしょうか。
教育の不足でしょうか。
それとも、現場の基準が曖昧になっているサインなのでしょうか。

声をかけられないという一見小さな出来事のようでいて、
売り場の“当たり前”が崩れている可能性があります。

この一件は、これからの教育を改めて考えさせられる出来事でした。

(続く)

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