百貨店内のジューススタンドで、
「売り場の前に立っていたのに、声をかけられなかった」というクレームが入りました。
教育アドバイザーとして現場に入っている私は、気になって同じ状況を作ってみました。
売り場の前に立ち、待ちました。——それでも、1分以上声はかかりませんでした。
あとでスタッフに確認すると、返ってきたのは意外な言葉でした。
「いるのはわかっていました」
「私的に『いらっしゃいませ』と言われるのが嫌いなんです」
では、お客様への声かけはどのようにしているのかと尋ねると、
「今日はこちらのいちごジュースがおすすめです」
とのことでした。
おすすめは言える。しかし、挨拶はしない。
ここに、売り場の“ズレ”が見えました。
これは接客スキルの問題なのでしょうか。
「いらっしゃいませ」は好みの押しつけではなく、挨拶です。
百貨店という場所で、ジューススタンドの前に足を止める方は、少なくとも何らかの関心を持ってくださっています。
その方に声がない状態は、果たして丁寧なのでしょうか。それとも失礼なのでしょうか。
そして、もう一つ。
この状態のまま現場が回っていること自体が、何を意味しているのでしょうか。
本人の価値観の問題でしょうか。
教育の不足でしょうか。
それとも、現場の基準が曖昧になっているサインなのでしょうか。
声をかけられないという一見小さな出来事のようでいて、
売り場の“当たり前”が崩れている可能性があります。
この一件は、これからの教育を改めて考えさせられる出来事でした。
(続く)