一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

個人事業主としてビジネスを運営していると、「減価償却費」という言葉を耳にすることがあると思います。この記事では、減価償却費についてわかりやすく解説し、具体例を挙げながらその仕組みや計算方法を説明します。

減価償却費とは?

減価償却費とは、事業で使用する資産(固定資産)の購入費用を数年にわたって分割して経費として計上する仕組みです。たとえば、設備や機械、車両、建物などの資産は一度にすべての費用を経費として計上するのではなく、その資産が使用できる期間に応じて少しずつ計上します。

なぜ減価償却が必要なの?

  1. 長期間使う資産の費用分配
    • 固定資産は何年にもわたって使用するため、費用を購入した年だけに集中させると、実際の利益が正しく反映されません。
  2. 税金の計算に影響する
    • 減価償却費を経費に計上することで、課税所得が減り、税金の負担が軽減されます。

減価償却の対象となるもの

減価償却費を計上できるのは、以下の条件を満たす資産です:

  1. 取得価格が10万円以上であること(少額資産の特例が適用される場合は例外あり)。
  2. 使用可能期間が1年以上であること。
  3. 事業のために使用されること。

主な例:パソコンやプリンター、事業用車両、工具、設備、建物などです。

逆に、消耗品や短期間で使い切るもの(文房具やコピー用紙など)は対象外です。

減価償却費の計算方法

減価償却費の計算方法にはいくつかの種類がありますが、個人事業主がよく使うのは定額法定率法です。

1. 定額法

定額法では、資産の取得価格を耐用年数で均等に割って、毎年同じ金額を経費として計上します。

計算式:減価償却費 = 取得価格 × 償却率

耐用年数ごとの償却率は税法で定められており、以下の表のように資産の種類によって異なります。

資産の種類 耐用年数 償却率
パソコン 4年 0.25
車両(事業用) 6年 0.167
建物(木造) 22年 0.046

(例)パソコンを20万円で購入した場合(耐用年数4年)

  • 減価償却費 = 20万円 × 0.25 = 5万円

この場合、毎年5万円を4年間にわたって経費に計上します。

2. 定率法

定率法では、毎年残っている未償却残高に一定の割合をかけて減価償却費を計算します。初年度に多くの減価償却費を計上できる特徴があります。

計算式:減価償却費 = 未償却残高 × 償却率

(例)同じく20万円のパソコン(償却率0.5と仮定)

  • 初年度:20万円 × 0.5 = 10万円
  • 2年目:10万円 × 0.5 = 5万円
  • 3年目:5万円 × 0.5 = 2.5万円

定率法では毎年の償却費が減少していきます。

注意点:耐用年数とは?

耐用年数は、税法で定められた資産の使用可能な期間です。この期間に基づいて減価償却費を計算します。主な資産の耐用年数は以下の通りです。

資産の種類 耐用年数
パソコン 4年
車両(事業用) 6年
木造建物 22年

減価償却を正しく行うためのポイント

  1. 帳簿付けを正確に
    • 資産を購入した際は、取得価格や購入日を記録しておきましょう。
  2. 税務署のルールを確認する
    • 減価償却の方法や耐用年数は税法に基づいています。定期的に最新の情報を確認しましょう。
  3. 少額資産の特例を活用
    • 取得価格が30万円未満の資産は、一括で経費計上できる場合があります。

まとめ

減価償却費は、個人事業主が正しい節税を行うために非常に重要な仕組みです。資産の購入時に一度だけでなく、長期間にわたって経費計上できるため、事業計画や資金繰りにも役立ちます。

具体的な計算方法や税務処理について迷った場合は、税理士や専門家に相談することをおすすめします。正しい知識を身につけ、事業運営に役立てましょう!

 

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