前回、児童文学は対象年齢層を冠した文学だと述べましたが、これには当然、大人たちの『思い』があります。ちょっと嫌な言い方をすれば、大人にとって都合のいい子どもをつくる狙いがある、というものです。そのため、批判の対象になりがちなところがあるのは、どうしても否めない点ではあります。
たとえば、イソップ物語のような寓話は教訓が書かれています。これは、日本の昔話なども同様で、子どもたちが受け入れやすい言葉で、社会のルール、健康を守る方法、考える力を育てる、というようなことを伝えます。親に一方的に説教されるより、鬼のほうが効力がある、というわけです。
情報過多な現代と異なり、社会を乱すことは、ある意味で命取りとなった時代にうまれた民話や寓話。子どもたちにルールを教えるのには、物語は欠かせなかったのだと思います。