第一回で述べた通り、児童文学は対象年齢層を冠した文学ですが、実際に取り組む際は注意が必要です。
最も大切なのは、読者層。読者はゼロ歳児なのか、幼児なのか、小学校低学年なのか高学年なのか、中学生あるいは高校生なのか……。それぞれの年代で、人生経験、学習量、言語経験がまったく違うため、どの年齢層を対象とするのかをしっかり想定することが必須となります。そして、それぞれの世代に目線を合わせた表現が最も重要となります。たとえば、夏の暑さを表現するのに、「アイス、お店で買ったばかりなのに、あっというまにとけちゃった。」と表現したり、五センチくらいの大きさのものを「肉球ふたつぶん」と表すほうが伝わったりします。
私たちの尺度で言葉をつづるのでは、伝わらない可能性があるということを、認識しなければなりません。