先月1月にアメリカの首都ワシントンで、
トランプ支持者が連邦議会の議事堂へ襲撃し、
警官を含む死者5人が発生するという前代未聞の事件が起きたのは、
まだ記憶に新しい出来事です。
トランプ元大統領に対しては、米国中で激しい非難が沸き起こりました。
ここで注目したいのは、巨大IT企業各社のこの事件に対する対応です。
まずTwitter社はトランプ氏のアカウントを永久凍結しました。
Facebook社は、Facebookおよび
インスタグラムのアカウントを利用停止しました。
そして、システムエンジニア界隈で話題になったAWSによるParlerへの
ホスティングサービスの利用停止です。
Parlerとは米国で利用されているSNSサイトで、
トランプ支持者やネオナチや右翼が多く利用しているサービスです。
彼らの多くは、過激な発言によりTwitterなど他のSNSサービスを
利用停止させられてParlerに流れてきています。
Parlerはモデレーション(投稿内容の監視)を行わないため、
その手のある種問題のある人達が多くたむろするSNSサイトとして
有名なのだそうです。今回の事件を受けて、AWS上で動いているこのParlerに、
Amazon社がサービス提供停止を通告したのでした。
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このプラットフォーマー達の措置は、世界中から多くの注目を集めました。
この決定から見えてきたのは、プラットフォーム運営者は
ユーザ一人ひとりの投稿内容やコンテンツ、
そして社会に与える影響までも考慮して責任を持たなければならない
という事実です。IT企業だからテクノロジーを提供して、
それではい終わり、とはいかないというわけです。
しかし、こういった決断を下すには、
倫理や教養やバランス間隔など総合的な能力が問われますが、
技術オタクでプログラミングが好きでプラグラムばかり書いていた
エンジニア集団だけの企業ではこの判断に苦しむのではないか、
とつい心配してしまいます(余計なお世話でしょうが)。
ちなみにラーメン屋が悪質な客を出入り禁止にするのも同じようなものでしょう。
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では、日本のIT企業の場合はどうでしょうか。
ツイッタージャパン社は、差別やヘイトなどの投稿の取り締まりが甘いと
識者からたびたび指摘されています。
ヤフーニュースのコメント欄は、誹謗中傷、罵詈雑言すれすれの
意見だらけで有名です。米国の状況とはほど遠いように感じます。
そして、もし今回の襲撃事件と同じようなことが日本で起きたら、
日本のIT企業のリアクションはどんなものになるのでしょうか?
まあ、米国のような強い措置は取らないだろうと思います。
そうは言っても、今回の米国IT企業の対応は、
今後の日本のIT企業の活動にそれなり影響を与えることになるでしょう。