前回、有酸素運動は脂肪燃焼に有効である一方で、無酸素運動では脂肪を消費できないというお話をしました。
一方で有酸素運動だけでは筋肉を鍛えることは出来ないのですね。筋肉を鍛えるためには無酸素運動が必要です。
正確に言うと無酸素運動が必要なわけではなく、呼吸が追い付かず無酸素運動になってしまう程の高負荷抵抗運動(レジスタンス運動、いわゆる筋トレ)が筋肉強化に必要なんです。
「筋肉強化」や「筋肉を鍛える」というのは、量と質を考える必要があります。
量とは“筋肉の物理的な量を増やす”ことです。
筋肉の最小単位は“筋原線維”という、長いものでは50cmにもなる細長い細胞です。この筋原線維が素麵の束のようにまとまったのが“筋線維”です。その筋線維が束になったのを“筋束”と呼び、その筋束がさらにいくつか集まって筋肉を構成しています。
今ある筋肉のキャパシティーを上回る運動を行なうと、その運動負荷に負けて筋肉の細胞の一部が損傷します。
その損傷箇所は数日のうちに再生されるのですが(その際に起こる痛みが筋肉痛です)、再生の過程でただ同じ量だけ元に戻すのではなくて、また同じ負荷が掛かっても耐えられるように筋細胞の量を増やし、筋線維のボリュームが増えます。
筋肉の高負荷抵抗トレーニングの反復は、この筋線維のなかの筋原線維の本数を増やしてくれ、筋肉はより力(収縮力)を発揮します。
トレーニングによって筋肉量が増加すると、基礎代謝も向上します。基礎代謝の向上は身体の中での熱産生を高めるので、冷えにくい、痩せやすくて太りにくい身体になります。
またトレーニングで破壊された筋原線維の回復の中で、成長ホルモンの分泌が促進されるので、疲労回復や病気への抵抗力向上が図れます。
次回は“筋肉の質”について考えていきますね。