一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • 【ぼっち整体院は大変です】Vol.44 “健康”を決定する5つの要素 ⑪環境 ~気候、天候~ 気象病の原因

皆さんのご自身の健康を保つために必要なものとして5つの要素があります。

前回は気象病・天気病についてその概要を説明しました。今回は気象病・天気病が起こる3つの原因について詳しく説明したいと思います。

①地球温暖化による気象や気候の変化

身体のあらゆる組織は酷使されると障害されて、その働きが低下してきます。

酷使とは二つのパターンがあって、一つは負荷が高い状態(負担が掛かりすぎる状態)ともう一つは負荷が継続してかかる状態(ずっと働き続けている状態)があります。

ずっと筋トレしていると、だんだん疲れて力を入れても入らない状態になると思います。それと同じで酷使されると、スイッチを入れても本来の働きをしなくなる(出来なくなる)のです。

昨今の気候の変動はそれ自体の変動幅が大きいので、非常に負荷が高い状態になり、それが常態化することで、常に高い負担が掛かり続ける状態になります。

 

私が数十年前、大学で地球温暖化について学んだ時。正直「確かに南極の氷は解けるかもしれないけど、暖かくなったら作物も良く育つし、暖房用のエネルギー消費が減るから良いんじゃないの?」と疑問に思っていました。

ところが実際は地球温暖化の問題は「冬も夏も均等に暖かくなるのでなく、夏は極端に暑く、台風も巨大化するけど、冬は冬で極端に寒く、寒波も大きくなる。いろんな気象現象が極端になる」というところなんですね。

そしてこの気候や気象の極端な変動は想像以上に身体の負担となり、自律神経を酷使させるんですね。

  • 月レベルでは「寒波襲来で大雪が降っていたのに、いきなり春のような陽気になる」といった変化。
  • 週レベルでは「昨日までは夏のように暑かったのに、今日は真冬のように寒い」といった変化。
  • 日レベルでは「日中は汗が止まらないくらいに暑かったのに夜は結構冷え込む」といった変化。
  • 瞬間レベルでは「カンカン照りの外を歩いていたけど、電車や建物の中は寒いぐらい冷房が効いている」という変化。

気象病は寒暖差が7度以上で起こると言われていますが、近年では7度程度の温度変化は当たり前のようにあります。

 

そういった気候の大きな変化が自律神経をオーバーワークさせ、それが長く続くことで自律神経の疲労による機能低下を招きます。

それが先ほどご紹介したような様々な不調を引き起こすのです。

私が学生の頃は、「人間は移動したり、エアコンなどでコントロール出来るから、さほど影響はない。」と聞いていたものの、実際、いまの私たちは思っている以上に気候変動のストレスを間接的にも直接的にも受けていますね。

②スマホ首や猫背腰など姿勢の乱れで生じる自律神経の失調

スマホ首や猫背腰などの姿勢の乱れ。
じつは天気病や気象病に大きな影響を与えます。

自律神経のうち、交感神経は背骨の首から腰まで、各部分から枝分かれして身体のすみずみに伸びていきます。一方で副交感神経は後頭部にある延髄や骨盤周辺の神経から枝分かれして身体のすみずみに伸びていきます。

神経は神経線維の束(いわばLANケーブル)になっているのですが、これらは物理的な圧迫を受けるとその働きに不調が生じます。椎間板ヘルニアで神経が圧迫されるとしびれや痛みが出たり、力が入らなくなります。これは自律神経とは別の体性神経(感覚神経や運動神経)が阻害されて起こる現象ですが、当然ながら自律神経も物理的な圧迫で本来の働きが発揮できなくなります。

この神経の圧迫は神経が脳や脊髄(中枢神経)から分枝した部分で起こりやすいんです。

特に現代人で顕著なパソコン作業やスマホのし過ぎで、首が前に飛び出した状態(スマホ首)になると後頭部は詰まり、頸部には過度な湾曲が発生してそこで交感神経、副交感神経とも圧迫を受けやすいのです。

さらには、スマホ首になって背中が丸くなると、胸郭の動きがなくなります。胸郭とは肋骨で出来た鳥かご状の空間で、胸郭が動くことでアコーディオンのように肺が膨らみ、呼吸が出来るんですね。当然ながら呼吸が困難になると身体は酸欠になり、本来の働きが出来なくなります。

整体で首の調整をはじめとする全身の姿勢矯正をおこなうと気象病・天気病が出にくくなるのはそういった事情からなんですね。

③内耳を含む「頭」の問題

気象病・天気病には「内耳」が深く関係すると考えられています。内耳は耳の鼓膜より奥の組織で、聴覚(蝸牛)や平衡感覚(前庭、半規管)に関与している部分です。

2019年に中部大学の佐藤教授の研究で、内耳の前庭器官に気圧の変化を感受する部分があることが分かりました。

 

内耳は直接的には自律神経とは無関係です(内耳から脳に情報を伝える内耳神経の働きは知覚神経であり、自律神経の働きはない)が、その知覚神経を通して気圧の情報が脳に伝達されるので、そこになんらかの先天的な特性や後天的な問題が加わることで、不調が起こる可能性があります。

おそらく生まれつきこの「内耳」が弱い方や「内耳」が過敏な方はおられると思うし、そういった方は気象病・天気病が出やすいと考えられます。

ただ、おそらくそれよりも問題なのは「内耳」の循環不全によるリンパ液のうっ滞です。これに関してはめまい・耳鳴りの整体に関するページで詳しく書いているので興味のある方はご覧ください。

オステオパシーの考えでは頭蓋骨には微細でリズミカルな動きがあり、それが脳脊髄液(いわば脳と神経のリンパ液)の循環を生んで健全な神経活動を支えていると考えます。この構造的な動きがいろいろな問題(外傷、生活習慣、姿勢など)によって阻害されると自律神経の失調を起こしますし、また自律神経の失調があるとこの頭蓋骨の動きが低下します。

この状態で低気圧の接近などで自分を取り巻く環境の気圧が下がると、健康な人であればすぐに頭の中と外の気圧差は解消されるのですが、そうでない人は相対的に頭蓋内圧(頭蓋骨の中の圧力)が高まり、頭の中身が膨張します。

ちょうど、高原でポテトチップスの袋がパンパンに膨らむみたいな感じです。そうすると拍動性の頭痛が生じたり、内耳のリンパ浮腫が悪化してめまいや耳鳴りを起こしたりします。

当院ではめまいや耳鳴り、頭痛に対して、この頭の内部の循環不全の解消を狙った施術を行っていますが、これらの症状はまさしく気象病・天気病の症状でもあります。

 

さて次回は、環境の中でも気候・天候以上に私たちの生活に密着する、住環境についてお話してみたいと思います。次回もぜひお読みくださいね。

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京都府京都市出身。 立命館大学卒業後、エンジニアリングメーカーの営業職に9年間従事。 その後、横浜市関内のメディカルカイロプラクティックカレッジ横浜に入学。 卒業後、アルバイトで臨床経験を蓄積し、2015年10月に横浜市都筑区にて整体院『ヒーリングオフィスあすとらむ』を開業。

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