日本の治水政策は、2021年の「流域治水関連法」の改正を契機に大きく転換した。背景には、気候変動による豪雨災害や土砂災害の激甚化・頻発化がある。これまでの治水は主に河川区域における堤防やダムなどの整備を通じて、河川管理者が主導して行ってきた。しかし改正後は、流域全体──すなわち山間部の集水域から氾濫リスクの高い平野部に至るまで──を対象に、地域の多様な関係者が一体となって治水に取り組むことが求められるようになった。