一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • 飲食業における業務委託契約について

飲食業界では慢性的な人手不足が続いており、正社員やアルバイトの確保が難しい状況が当たり前になりつつあります。こうした背景から、近年は業務委託契約を活用する店舗も増えてきました。業務委託は「雇用」ではなく、特定の業務を外部の個人や事業者に依頼する契約形態です。柔軟な働き方が可能で、店舗側も固定費を抑えやすいというメリットがあります。

業務委託と雇用の違い

業務委託契約では、働く側は店舗の従業員ではなく、独立した立場で業務を請け負います。そのため、労働時間の管理や細かな業務指示を一方的に行うことは原則できません。成果や業務内容に対して報酬を支払うのが基本であり、時給制やシフト固定が常態化すると、実質的に「雇用」と判断される可能性もあります。この線引きを曖昧にしたまま運用することは、店舗側にとってもリスクとなります。

現場で起こりがちなギャップ

私自身、飲食店を運営する中で、調理や仕込みなどを業務単位で外部に依頼するケースを見てきました。現場では「人手が足りないから」「忙しい時間だけ手伝ってほしい」といった理由で、ついアルバイトと同じ感覚で関わってしまいがちです。しかし、善意で始めた関係が、後から契約内容の不明確さによってトラブルに発展することもあります。

契約で大切なのは線引き

業務委託を導入する際に重要なのは、業務範囲・報酬・責任の所在を明確にすることです。どこまでが依頼業務なのか、成果物の基準は何か、トラブル時の対応はどうするのか。これらを事前に書面で整理しておくことで、不要な誤解やリスクを減らすことができます。

長く続く関係をつくるために

業務委託契約は、うまく活用すれば店舗と働き手の双方にとって有益な仕組みです。そのためには、「便利だから使う」ではなく、「対等な契約関係を結ぶ」という意識が欠かせません。短期的な人手確保だけでなく、長く信頼関係を築ける形を目指すことが、これからの飲食業には求められていると感じます。

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芦名 佑

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