先日ラジオで、あるピアニストが出演していました。その方はTVドラマの音楽の作曲もしており、産婦人科医を題材にしたドラマの音楽を担当した時の話をしていました。
新しい命の誕生をテーマにして、彼なりに曲を作りあげるのですが、なかなか監督からOKと言われず何度も描き直したそうです。監督は「何かさあ・・・なんか足りないんだよね。」「何か違うんだよね・・」と言い続け、終いにピアニストも頭にきて、酒の席で少々やりあったそうです。
監督・・・「命の誕生ってさあ、喜びだけじゃないじゃない。これからしんどい人生を生きていかなきゃいけない切なさっていうか・・・」
ピアニスト・・・「つまり曲に切なさが欲しいんですね?」
監督・・・「そう。」
ピアニスト・・・「なんでそれを早く言わないんだ!」
このやりとり、図面でもよく経験します。 依頼側、図面側どちらが悪いというわけではないのですが。
「この図面さあ・・何かもうちょっとさあ・・」と言われることは図面屋は誰しも経験していると思います。これがトラブルにまで発展してしまう原因は、「何かさあ・・・」の”何か”が明確でないことです。
”何か”とは、仕上がった図面に違和感を感じているということでしょうが、その違和感が何か?どうすれば、その違和感を解消できるかが、特許担当者も図面側も分からなくなってくると、もめてしまうわけです。
僕は図面で食っていくなら”テクニカルイラストレーション技能士”の資格をとることを強く勧めていますが、理由のひとつが、テクイラの知識があると、特許担当の違和感の原因の予測がつくからです。
”多分この図面のこの描き方に対して、あの担当者は疑問を持ちそうだなあ。。。 もめる前になぜこの描き方をしたか予め説明しとくか。。。”といった対処ができます。
図面側は必要な知識を手に入れ、特許担当者の”何かさあ・・・”を突き止めなければならない。特許担当は自分の違和感を”明確に”説明する努力をしなければいけない。
ここに気を付けるだけでかなりスムーズに仕事が運ぶはずです。