一般社団法人 全国個人事業主支援協会

COLUMN コラム

  • 【ぼっち整体院は大変です】 Vol.40 ”健康”を決定する5つの要素 ⑨環境 ~内分泌かく乱物質~

皆さんのご自身の健康を保つために必要なものとして5つの要素があります。

前回に引き続き、健康を司る5大要素のうち、4つめの環境についてお話したいと思います。

環境 ~その内、化学的に影響を与えるもの

環境とは「自分を取り巻き、影響を与えるもの全て」を指します。

そのうち「化学的に影響を与えるもの」と「物理的に影響を与えるもの」に分け、前者の身体に害を及ぼす可能性があるものとして「薬」「食品添加物」について前回お話しました。

今回は「内分泌かく乱物質(環境ホルモン)」「遺伝子組み換え食品」についてお話ししようと思います。

内分泌かく乱物質(環境ホルモン)

“内分泌かく乱物質(環境ホルモン)”という言葉を聞いたことがありますか?

人間の身体には元気に生きるためのいろいろな装置と仕組み(システム)があり、それを“器官”と言います。

その器官の一つに「内分泌系」というシステムがあるんですね。

内分泌系とは、内分泌腺という装置でホルモンという化学物質を作って、血液中に分泌し、身体の様々なはたらきを調整したり制御したりするシステムです。

代謝や免疫、生殖といった日常的な働きと共に、発達や発育など成長の段階に合せて分泌されるホルモンもあります。

ホルモンはそれ自体に何かをする作用はないのですが、そのホルモンを受け取った特定の細胞はその刺激でいろいろな働きを始めます。

内分泌かく乱物質とは環境中に放出された化学物質の内、人間(またはその他の生物)の内分泌系に変化を与え、本来の正常なホルモン作用にかく乱・悪影響を与える物質です。特に胎児や乳児などこれから身体を造っていく時期に望ましくない影響を与えることが懸念されています。

実際のところ、内分泌かく乱物質が具体的に人間にどのような影響を与えるかはまた分かっていません。ただ、魚や爬虫類などの野生動物に生殖機能異常や雄の雌性化といった異常が見つかっており、その原因が内分泌かく乱物質ではないかと推測されています。なので人間に全く無害とは考えにくいのです。

では具体的にどういった物質が内分泌をかく乱する恐れがあるかというと、ポリ塩化ビフェニール(PCB)、有機塩素系殺虫剤(DDT)、ダイオキシンを初めとしていろいろな物質が挙げられます。

先に上げた物質は内分泌かく乱作用以外にも毒性が強くて、すでにいろいろな対策が練られているので、ここでは身近に潜む内分泌かく乱作用が疑われるものとしての「プラスチック」を考えていきたいと思います。

プラスチック製品(プラスチックコーティングされた缶詰なども含む)に含まれるビスフェノールAやアルキルフェノールといった物質には内分泌かく乱作用が弱いながらもあるとされています。

基本、プラスチック製品は安全性は考慮されているものの、条件によって溶出して人体に影響を与える可能性があるんですね。たとえばコンビニ弁当のプラスチック容器は脂肪性の食品を電子レンジで加熱しすぎた場合、溶出する恐れがあります。

また、プラスチック製品やプラスチックごみが摩耗・劣化・粉砕されて環境中に放出された直径5mm以下の微細なブラスチック粒子をマイクロプラスチックというのですが、海洋汚染の一つとして生態系への悪影響が懸念されています。

当然そのマイクロプラスチックの中にはこういった内分泌かく乱作用がある成分が含まれているので、弱くて少量でも継続的に体内に入ってきたら問題となる可能性がありますし、また内分泌かく乱作用以前にマイクロプラスチックが体内に入ると免疫システムが反応して炎症が起こる可能性があります。慢性炎症はいろいろな身体の不調や生活習慣病の原因となり得ます。

実際に2022年のオランダアムステルダムでの研究で、人間の血液中からプラスチック粒子が検出されたそうです。その内訳はPET、ポリスチレン、ポリエチレンといった身近に溢れたプラスチック原料なんですね。

マイクロプラスチックの大半は食事で食べた魚から入ってきていると考えられています。資源リサイクルや下水処理で処理しきれなかったマイクロプラスチックそのもの、または捨てられたプラスチックごみが細分化されてマイクロプラスチックになったものが海に流れ込み、それを食べた魚によって濃縮され(特に養殖された魚)、食物連鎖の過程で人間の体内に戻ってくるわけです。

また、化学繊維の生地から作られた衣服やカーペットなどは、使い続ける中で細かくすり切れ、粉砕されてマイクロプラスチックが生まれます。それらは室内などの封鎖空間にはたくさん浮遊するようで、それを呼吸で吸い込むことで体内に入ってくるとも考えられています。

イギリスの大学での研究によると、食物から入ってくるマイクロプラクティックの量より、その食事の間に呼吸で入ってくる浮遊マイクロプラスチックの量の方が多いとも言われています。

これらの問題は自分の努力だけでどうにかなるものでもないので、社会全体でのSDGsの取り組みが重要になるのですが、自分で注意して防げることもあります。

①PETボトル飲料には1ℓあたり1万個のマイクロプラスチックが検出されているので、PETボトル飲料の飲みすぎに注意する。

②プラスチック容器はそこに熱い食材を入れたり、電子レンジで加熱することで、成分が溶けだす可能性があります。そういった食品は避けるか、ドリンクならマイカップを使う、加熱するなら陶器の食器に移し替えて温めるなどの工夫が必要です。

③自然素材(綿・麻など)の衣服や寝具、ナプキンやおむつを使う。不織布マスクはポリエステルで出来ており、プラスチック製品ですのでポイ捨てせずに適正に処分する。

現代社会で生きる以上、プラスチックを100%避けることは出来ませんが、なるべく害を受けない工夫が必要ですね。

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京都府京都市出身。 立命館大学卒業後、エンジニアリングメーカーの営業職に9年間従事。 その後、横浜市関内のメディカルカイロプラクティックカレッジ横浜に入学。 卒業後、アルバイトで臨床経験を蓄積し、2015年10月に横浜市都筑区にて整体院『ヒーリングオフィスあすとらむ』を開業。

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